スイスがUBSなど国内大手行の監督強化案、CS危機の再発防止へ

Noele Illien

[ベルン 10日 ロイター] - スイス政府は10日、UBSなどシステム上重要とみなされる国内大手4銀行に対する監督を強化するための具体的な提案を盛り込んだ報告書を公表した。

ケラーズゲッター財務相は「これはクレディ・スイス(CS)が陥ったような絶望的な事態に他の銀行が見舞われないようにする追加的な予防措置に関するものだ」と指摘。資本要件を量的・質的に厳格化するべきだとの見解を示した。

スイスではUBSのほかライファイゼン・グループとカントナバンク、ポストファイナンスがシステム上重要な金融機関に指定されている。

報告書は、特にUBSが現在の規模と構造を維持するか、さらに拡大した場合は、資本要件は「相当」拡充される必要があると提言した。

UBSは経営危機に直面したクレディ・スイスを救済合併したことで、バランスシートの規模が約1兆7000億ドルに膨らみ、スイスの年間国内総生産(GDP)の2倍に達しているため、実体経済に及ぼす影響は際立って大きくなっている。

政府が提示した具体案は、連邦金融市場監督機構(FINMA)の権限強化や、資本上乗せ義務を課す可能性、銀行子会社の財務基盤強化などだが、危機に際して一時的に銀行を公的所有とする選択肢の法制化は排除した。

ケラーズゲッター氏は、納税者を巻き込むべきではないと述べた。

政府はこれらの提案に実効性を持たせるための手続きを急ぎ、来年前半には最終的な政策パッケージの形で打ち出す計画だ。

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