大谷絶好調の裏にMLBとドジャースの「特別扱い」…異例のバックアップ体制で打率.345

DHは大谷専用ポジションに(C)ロイター/USA TODAY Sports

MLBはドジャース大谷翔平(29)が起こした賭博醜聞に対し、早期の幕引きを図ろうとしているし、そうせざるを得ない複雑事情もある。それが結果として、大谷がグラウンドに集中できるよう配慮したことになっている。(【前編】からつづく)

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大谷をバックアップしているのはMLBに限らない。10年総額1000億円超の契約を結んだドジャースもしかりだ。

大谷は今季、右肘の手術明けで打者に専念するしかない。といって送球が必要な守備に就くのは実際問題、ハードルが高い。つまり原則、DHに専念するしかない。昨季、ドジャースのDHだったマルティネスは113試合に出場しただけだった。残り49試合のDHは他の主力野手が代わる代わる休養するためのポジションでもあったが、大谷は開幕から13試合すべてDHとしてフル出場している(9日現在)。特派員のひとりがこう言った。

「ドジャースのフロントは今季、あえて野手を飽和状態にした。ただでさえ層の厚いところにもってきて、オフにFAでテオスカー・ヘルナンデス外野手(31)を獲得。内外野をこなすユーティリティープレーヤーで昨季15本塁打、4年総額90億円のテイラー(33)が控えに押し出されたくらいです。そうやっていっそう層が厚くなった野手を代わる代わるスタメンから外して休ませ、DHを大谷専用のポジションにした。一時的に結果が出なくても極力、大谷がDHに専念できるような布陣を整えたのです」

昨季44本塁打を放ってタイトルを獲得した大谷の力を最大限に生かせるよう、フロントは考慮している。

大谷は開幕から計8試合、40打席も本塁打が出なかった。それでも休ませずにDHで起用し続けたのは、根底に今季のDHは大谷に任せるというドジャースのスタンスがあったから。だからこそ大谷も腰を落ち着けてプレーし、結果もついてくるようになったのだ。

大谷は9日のツインズ戦で3号本塁打を含む5打数3安打。自身最長の5戦連続マルチ安打で打率を.345と上げたばかりか、松井秀喜(元ヤンキースなど)のもつ日本人選手最多の通算175本塁打まで、あと「1本」とした。

「ショウヘイは非常に状態がいい。(相手投手が)抑えるのは難しいだろう」

試合後のロバーツ監督がこう言って相好を崩した大谷の好調は、MLBやドジャースの“後方支援”があればこそだ。

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