韓国総選挙、野党が過半数獲得 尹政権レームダック化も

Jack Kim Hyonhee Shin Hyunsu Yim

[ソウル 11日 ロイター] - 10日投開票の韓国総選挙は、革新系の最大野党「共に民主党」が過半数を上回る議席を獲得して圧勝した。尹錫悦大統領の与党には大きな痛手となった。

中央選挙管理委員会や放送局によると、11日午前10時32分(日本時間同)時点で開票率100%となり、国会の全300議席のうち、共に民主党が175議席を獲得。共に民主党と協力関係にあるとされるリベラル政党は12議席を獲得したもよう。

公式結果は同日中に発表される。

野党勢力が全議席の3分の2に当たる200議席を獲得すれば大統領が拒否権を行使した法案を再可決したり、憲法改正案を可決できるようになるが、その水準には達しない見込み。

与党「国民の力」は108議席を確保する見通し。

総選挙は、発足後約2年の尹錫悦政権の「中間評価」と位置付けられていた。政権の支持率は生活費高騰や尹夫人が知人から高級ブランドバッグを受け取ったとされる疑惑などを背景に低迷しており、一部の政治アナリストは今後のレームダック(死に体)化を予想している。

共に民主党の李在明代表は選挙結果について、有権者が「尹政権反対の審判を下し、共に民主党に国民の暮らしやより良い社会づくりのために取り組む責務を与えた」と述べた。

李氏はソウル近郊の仁川の選挙区で、尹大統領に近いとされる保守系重鎮に勝利した。

尹氏の側近によると、同氏は選挙結果を「謙虚に受け止め」、政権刷新を誓った。

聯合ニュースによれば、韓悳洙首相らが辞任を申し出た。

仁川大学のイ・ジュンファン教授(政治学)は、有権者は政府の経済政策が失敗しているというメッセージを伝えたと指摘。「野党が190議席近くかそれ以上の議席を持つ中、立法、予算、国政の困難は今後も続くと思う」と述べた。

韓国外国語大学のメイソン・リチー教授は、レームダック化する可能性が高い中、尹大統領は政策を推し進めやすい外交に集中することになりそうだとの認識を示した。

NH投資証券のアナリスト、キム・ヨンファン氏は、世界的に割安に取引されているとされる企業株式の価値を高めようとする尹氏の実行力への期待は弱まったと述べた。

中央選挙管理委によると、投票率は67%と、2022年大統領選の水準には及ばなかったが、総選挙としては過去最高を記録した。

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