福島大、エフレイなど学外と水素エネ技術開発 新設研究所拠点に製造など4分野で

 福島大は今月新設した水素エネルギー総合研究所を拠点に、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)をはじめとした研究機関や自治体、企業などと連携して水素エネルギーの技術開発や実証、人材育成などに取り組む。研究所内に分野ごとのグループをつくり、連携先と協力して県民が利用しやすく、産業の活性化に役立つ水素エネルギーの地産地消モデルを確立する。

 同大が10日、発表した。研究所は学内に設置し、宗像鉄雄所長をはじめ共生システム理工学類や食農学類などに所属する教員11人が所属する。製造、貯蔵、マネジメント、利活用の4グループで自然資源を活用した水素製造法の開発などの研究・教育に当たる。宗像所長は3月まで産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(FREA、福島県郡山市)の所長だった。

 連携協定を結んでいるエフレイとは間伐材などを活用した水素エネルギーの共同研究を進める。東北大(宮城県仙台市)に整備された次世代放射光施設「ナノテラス」も水素の安全な貯蔵・管理に向けて役立てる方針。福島県などとも具体的な研究内容を協議している。

 宗像所長は「カーボンニュートラルの実現に水素の普及は重要だ。専門的な知識を備えた人材育成に貢献したい」と語った。

■産総研と連携大学院開設へ 来年度、先端研究担い手育成図る

 福島大は今後、学生が産総研福島再生可能エネルギー研究所で学べる仕組みを構築する。来年度は大学院共生システム理工学研究科に産総研との連携大学院を開設し、学生が産総研で学べる環境を整える。今夏にも募集を始める予定だ。

 福島県内では同研究所が水素の先端研究に取り組んでいるが、水素に特化した高等教育機関はなく、担い手の育成が課題だった。

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