被災地再生、営農で貢献 「みらい農業学校」11日開校 県内外15人、夢へ意欲 福島県南相馬市

みらい農業学校に入校し夢の実現を目指す宇佐見さん(左)と川崎さん

 福島県南相馬市が農業人材の確保・育成のために開設した「みらい農業学校」の開校式は11日、市内小高区の現地で行われる。入校者は「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地の農業再生に貢献したい」と誓っている。

 みらい農業学校には福島県内外から集まった、19歳から54歳までの15人が入校する。福島県富岡町の宇佐見和恵さん(33)は、同県楢葉町でサツマイモを生産する農業法人で働いていたが、本格的に農業を学ぼうと門をたたいた。実家には田んぼと畑がありコメや野菜を作っていたが、原発事故で耕作できなくなり、今は農地を貸している。「いつか自分の手で農業を再開させたい。そのためには、さまざまな作物の育て方を習得しなくては」と夢の実現を目指す。

 兵庫県西宮市出身の川崎裕介さん(31)は通信設備の会社から転身し、南相馬市に移住した。「食に興味があり、農業に携わりたかった。おいしい日本酒が多い福島で学びたい」と考えて決断した。震災や原発事故については、まだ知らないことも多いが「農業を通じて被災地復興に関わっていきたい」と希望を抱く。

 学校ではスマート農業や先端機器の操作も学ぶ。2人は新しい農業の担い手としての経験を積み、その輪を仲間とともに広げようと意欲を燃やしている。

   ◇    ◇   

 みらい農業学校は、閉園した旧鳩原幼稚園を改修した「みらい農業交流スペース」に設けられた。相双地方で増えている大規模農業法人での雇用就農に向けた指導を行う。社会人向けの農業教育事業を手がけるマイファーム(京都市)が運営する。就学期間は1年。

 開校式は11日午前10時30分から、同校で行われる。

© 株式会社福島民報社