小池東京都知事に元側近が悔恨の告白で学歴詐称疑惑再び… 会社員では38年後の発覚で懲戒解雇の事例も

疑惑がクロなら都知事3期目にも暗雲が垂れ込める…(Ryuji / PIXTA)

東京都知事の小池百合子氏をめぐる、元側近による学歴詐称の暴露告発が波紋を広げている。文春オンラインが9日、報じた。”暴露本”も発売されるなど、小池都知事の学歴詐称はかねてからうわさされているが、新年度になり、国政復帰もささやかれるなか、その芽をへし折る”砲撃”となりそうだ。

同記事によれば、元側近が小池都知事の学歴詐称疑惑の隠ぺい工作に加担してしまったという。具体的にはカイロ大学を卒業したことにする方法を元側近が指南。実行して世間からの学歴詐称疑惑を払拭(ふっしょく)したという内容だ。

小池都知事はその後、都知事選に再出馬し、圧勝で再選を果たした。このことを考えれば、当時の元側近の”隠ぺい”加担が小池都知事の大きなターニングポイントになったといえる。

過去には”詐称”でわが世の春を謳歌(おうか)した人も

小池都知事の疑惑はいまだ完全に晴れてはいないが、自らの経歴を虚偽で塗り固め、そのままでは手に入れることが難しい地位を得ている人は少なくない。最近では、大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めた水原一平氏にも学歴詐称疑惑が浮上している。フィギュアスケーターの羽生結弦選手の元妻でバイオリニストの末延麻裕子氏にも「受賞記録がない」とする経歴詐称の疑惑がささやかれた(本人側は否定)。

また、”ショーンK”こと川上伸一郎氏は、国際経営コンサルタントの肩書でコメンテーターとしてメディアで活躍。その整ったルックスや語学力、コメント力などでお茶の間を欺き、2015年前後までメディアで躍動した例も記憶に刻まれている。

経歴さえごまかせれば、あとは実力で。優秀だからこそ、そんな風に考えたりするのかもしれない。だが、そうやって世間を欺く代償はあまりにも大きい。

川上氏は当時のレギュラー番組を失い、表舞台から姿を消した。水原氏も、疑惑が疑惑を呼ぶ形で、現在行方不明状態だ。小池都知事の学歴詐称はまだ疑惑段階だが、もしクロなら、多くを失うことになるだろう。

小池都知事の疑惑について、ネット上では「以前からうわさされており、同居人の本でも公表されている。追求は必要」「事実ならどうして今までおとがめなしか不思議でならない。やましい気持ちがないなら法的措置を講じればいい」「そろそろきちんとさせる時。一体いつまでこの人を図に乗らせ続けるのか」と辛辣(しんらつ)な意見が並ぶ。

疑惑がクロだった場合に科せられる法的処罰は

では、小池都知事の経歴詐称が事実と判明した場合、どのような罪に問われ、どのような処遇を受けるのか。今回のように出身大学を詐称する学歴詐称の場合、学位を詐称することになり、軽犯罪法違反(軽犯罪法1条15号)に問われる可能性がある。

小池都知事のケースであてはまるかは分からないが、カイロ大学を卒業したという文章を他人の印章や署名を利用して作成し、他人をだまそうとしていたなら、私文書偽造罪(刑法第159条)となり、3カ月以上5年以下の懲役も考えられる。

もしも詐称した経歴で金品などの財物の交付を受けていたり、財産上の不法の利益を得ていたりすると詐欺罪が成立する可能性もあり得る。

小池都知事の場合でもっともダイレクトに影響がおよびそうなのが、公職選挙法違反(公職選挙法235条1項)だ。もしも選挙公報に学歴などの虚偽の記載をした場合、公職選挙法違反に問われ得る。当選無効や刑事罰が科せられることもあるかもしれない。

新年度だからこそ身を清めておくことが“出世”に最善

新年度が始まり、決意も新たに社会人としてのスタートを切った人も多いだろう。経歴に限らず、ちょっとしたウソも後になって、大きな問題に発展する可能性がある。

会社員の場合なら就業規則などに経歴詐称の規定があれば、懲戒解雇もあり得る。虚偽の職歴を根拠に賃上げ交渉し、賃上げを獲得した事例では、会社側の損害賠償が認められたケースもある。就職して38年後に学歴詐称が発覚し、懲戒解雇となった事例も存在する。

新たな船出となるこの時期。だからこそ、やましいことがあるならキチンとクリアにし、一点の曇りもない状態でスタートする。それが、今後の躍進を見据えても最善であることはいうまでもないだろう。

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