15年続いた静岡県の川勝県政終幕へ 川勝知事が県議会議長に辞職願を提出そして最後の会見

静岡県の川勝知事は10日県議会議長に対して辞職願を提出。その後の会見で辞職の時期を早めた事について「県政の空白を短くするため」と説明しました。

石田和外キャスター
「まもなく辞職願を提出した知事の会見が始まります。15年間の川勝県政、どんな言葉で振り返るのでしょうか?」

午後2時、多くのカメラが待ち構える会見場に姿を見せた川勝知事。

知事として、10日が“事実上最後の会見”になりました。

川勝知事 県庁 午後2時
「私の言動のせいで、静岡県が厳しいことを言われるというのは誠に辛いことです。したがって、これをなるべく早く止めたい」

15年続いた川勝県政。きょう1日は静岡県にとっても“節目”の1日となりました。

辞職願の提出

片山真人アナウンサー
Q.このあと辞職願提出されますが今のお気持ちは

川勝知事
「…」

10日、県庁には朝から多くの報道陣が詰めかけました。

午前9時過ぎ、川勝知事が辞職願を持って、県議会議長室へ。

議長室の滞在時間はわずか15秒ほどでした。

4期目の任期を1年余り残す中で辞職に追い込まれた形の川勝知事。

30日後の5月9日いっぱいで失職します。

辞職願を受け取った県議会の中沢公彦議長は―

県議会 中沢公彦議長:
「4月1日の訓示の発言以降、まだ1週間ちょっとしか経っていない中で、私どもの肌感覚で言うと、物すごい時間が経ったような気持ちが正直あります。」

県民は

今回の発言に対して、9日までに県庁に寄せられた意見は3000件余り。

そのほとんどが批判的な意見です。

川勝知事が10日辞職願を提出したことに、県民からは―

藤枝市民 70代女性
「当たり前だと思います」

静岡市民 70代女性
「ここが潮時だなと思われたんだと思うんですけど、もうちょっと始末をつけてからお辞めになった方がよかった」

静岡市城北勤め50代男性と20代男性
「一番ネックだったリニアの問題。そこをちょっと整理できてやることやってから勇退してくれれば一番良かったかなと思うんですけど」

最後の会見へ

そして、午後2時―

辞職願を提出した川勝知事が事実上“最後となる会見”に臨みました。

川勝知事:
「辞意表明したのが4月2日だったと思います。表明した以上、直ちに辞任するのが望ましい。いわゆる県政の空白を短くするということで、きょう(辞職願を)提出しました」

Q.内容としては?

「一身上の理由により、退職願いますというものであります」

任期を1年余り残して、なぜ今辞職するのか。

その理由として挙げたのは、やはりリニア問題でした。

川勝知事:
「私がやるべき仕事は、県民の皆様方に負託していただいておりますリニアの問題の道筋が、皆様方に分かる形にならないといけないと思っておりましたが、これから最低10年以上、(工事を)今日始めてもかかるということがわかったということで、それまで2027年以降ということしか、数字として出てなかったんですけれども、これが大きくて、これで一つめどが見えたなと思いました」

川勝知事:
「私どもは早期開通に対して足を引っ張っているということは一度もしたことはありません」

Q.今でも「リニア推進派」であることは変わらないのか?

「変わりありません」

最後まで“川勝節”

そして、最後まで“川勝節”も健在でした。

川勝知事
「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれと詠われたのは感動的です。素晴らしい辞世の句だと思います。」

”散り際の重要性“を説いたとされる、明智光秀の娘・細川ガラシャの辞世の句を引用した川勝知事。

偶然でしょうか、ネクタイには富士山と桜があしらわれていました。

今の心境は

石田和外キャスター:
Q2009年の所信表明、昔の話になって大変恐縮ですが、毀誉褒貶にさらされ、失敗をし、挫折感に打ちひしがれても、それでもなお屈せず、堂々と誠実に日本の理想を追求して参りますと知事はおっしゃいました。その言葉をかみしめて、今回のやめ方は。突然に、県政が混乱するような状況で、任期を残して辞められます。この辞め方で本当に良かったでしょうか?

川勝知事:
「その所信表明はですね、最後のあたりじゃないでしょうか?」

石田
「はい。」

「主役は県民ですと言ったはずです。ですから、県民に仕えるのが私の仕事ですから。県民が世界の理想、日本の理想に向かって、羽ばたけるようにと言うことで、一度もその理想の旗を降ろしたことはありません。」

さらに、今の心境を、こう説きました。

川勝知事:
「『孤軍奮闘 囲みを破って還る 一百(いっぴゃく)の里程 塁壁の間 吾が剣は既に摧(お)れ 吾が馬は斃る』 と。さあ、どこに骨を埋めるかとそういう心境ですね。

孤立無援の軍勢で奮い闘ってふるさとにたどり着いたが、馬も倒れ、もはやこれまでという、西郷隆盛の心境を嘆いたとされる詩も飛び出したのです。

Q.任期半ばで辞職されるということで、何か県民へのメッセージは?

川勝知事:
「本当にありがとうございましたという以外にないですね。何て言いますか、みんな人が良いですね。静岡県は素晴らしいところです。その方たちに僕が迷惑かけたというのは、誠にもって辛いことです。私が原因、私だけが原因だと思います」

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