ラウンド中に急な尿意で困ったことありませんか? 排尿に30秒以上かかっていたら膀胱が老化しているサイン

イラスト・内山弘隆

トイレが近くなったり、急激な尿意に襲われたり。おしっこの切れが悪くなり、ズボンを濡らしてしまうことも……。おしっこの悩みがあると、ラウンド中も気になってゴルフどころではなくなってしまう。はたして何が原因なのか。順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授の堀江重郎先生に教えてもらった。

トイレが近くなったり、急激な尿意に襲われたりする、おしっこの悩み。「65歳以上の3人に1人が、何らかの排尿障害を抱えています」と、堀江先生。誰にでも起きることだが、年だから仕方がないと放置するのは危険だという。
 
「おしっこのストレスを抱えることでQOL(クオリティ・オブ・ライフの略で生活の質という意味)が低下してしまいます。また、『夜中2回以上トイレに起きる人は、1回以下の人と比べて死亡率が2倍に増える』という研究結果があり、健康寿命を縮める恐れもあるのです」
 
若いころは無縁だった頻尿や急な尿意。体に何が起きているのだろう。
 
「男性で最も多いのは、前立腺肥大症です。前立腺は精液の一部をつくる器官で、膀胱のすぐ下に位置。本来はクルミほどの大きさですが肥大するとソフトボール大になることもあります。これが尿道を圧迫すると、おしっこが出にくくなったり、過活動膀胱が引き起こされたりするのです」
 
加齢による筋力の低下も、尿トラブルの原因になるという。
 
「骨盤底筋群や尿道括約筋が緩んだり、膀胱そのものが硬くなれば、尿が十分たまる前に尿意を覚えたり、スッキリ出し切れなくなります。動脈硬化による血流の悪化も筋力低下に悪影響。高血圧や糖尿病により、尿トラブルが起きているケースもあります」
 
自分の「おしっこ年齢」は若々しいのか、初老に差しかかっているのか気になるところ。だが、膀胱や前立腺の老化を調べる検査はないという。
 
「排尿器官老化の目安はおしっこに30秒かかること。気になる人は、泌尿器科を受診することをおすすめします」
 
尿トラブルで困っているのなら、恥ずかしがらず泌尿器科の門を叩くこと。それが早い解決法のようだ。
 
教えてくれたのは
堀江重郎(ほりえ・しげお)
順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授。日米の医師免許を持ち、泌尿器科学、腎臓学、分子生物学、臨床腫瘍学の研鑽を積む。帝京大学医学部主任教授など歴任後2012年より現職。共著に『順天堂大学教授・泌尿器科の名医が教える 頻尿 尿もれがみるみる改善する食べ方大全』(文響社)など。
 
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