「間違いなく負担は増えている」 大谷が世界に向けて警鐘を鳴らすMLB時短策の弊害

ピッチロックは「ノー」?(大谷の右肘手術痕が痛々しい)/(C)共同通信社

「間違いなく負担は増えている。それは間違いないと思います」

日本時間9日、投球間に時間制限を設ける「ピッチクロック」について、ドジャースの大谷翔平(29)がモノ申した。

報道陣から、「この2日間、投手のケガが増えている。原因の一つにピッチクロックが挙がっている」との質問に対し、
冒頭の言葉にこう続けた。

「レスト(休養)というかリカバリーというか、体への負担は、短い時間で多くの仕事量をこなす負担自体は間違いなくかかっていると思います。それがどの程度、今回(の故障に)反映されているかは確証はない。自分の感覚としてはあるんだろうなと思います」

ピッチクロックは試合時間短縮を目的に昨季から採用された。走者ナシの場合は15秒、今季からは走者アリの場面で20秒から18秒に短縮され、制限時間以内に投球動作を始めないと1ボールが宣告される。打者も残り8秒までに打席でバットを構える必要がある。

この制度が導入されるや、投手の故障者が続出。今季も昨季サイ・ヤング賞のヤンキースのコールが右肘痛で離脱すると、去る7日には昨季20勝を挙げたブレーブスのストライダーの右肘靱帯損傷が明らかになった。ケガ人は増える一方なのだ。

MLB機構は一貫して、「ピッチクロックと故障は無関係」との立場を取っているものの、選手会は先日、「投手の回復する時間が十分ではない」などと、これを批判する声明を出した。

大谷はこうした経緯もあって、報道陣から意見を求められたわけだが、「今の投手は球速やスピンレートを追い求める傾向があるが、ピッチクロックがケガにつながっていると思うか?」との質問に対して、

「球質自体を上げる作業もそうですし、自分のベストのボールを投げ続けなければいけないというのも、僕は投手をやっているので、手を抜くではないですけど、軽く投げていくシチュエーションというのは、先発投手でもなかなか少ないのも、もちろんそうだと思います」

としたうえで、「ピッチクロックは間違いなく体への負担は増えていると思います」と、重ねて強調した。(つづく)

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かく言う大谷はピッチクロックの被害者といっていい。過去に語っていた「弊害」、「投手断念の可能性」、今回の「ピッチクロック批判の重み」などについては、●関連記事【続きを読む】…で詳しく報じている。

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