韓国総選挙で与党惨敗 尹錫悦大統領がかつて葬った〝宿敵〟の返り討ちか!?

ピンチの尹錫悦大統領(ロイター)

10日の韓国総選挙は保守系与党「国民の力」が議席を減らし、革新系最大野党「共に民主党」が大勝した。国民の力は選挙前に支持率でリードしていた時期もあっただけに、惨敗感は否めない。これで尹錫悦政権は引き続き少数与党のねじれ状態が続きそうで、韓国政界は混乱必至。日韓関係にも影響が出そうだ。

公営放送KBSテレビの報道によると、共に民主党は系列党も含めて定数300のうち174議席を獲得し、投票前の156から伸ばした。国民の力は系列と合わせて109にとどまり、現有114から議席減。KBSは「惨敗」としたが、野党による大統領の弾劾訴追や憲法改正が可能になる100議席以下は免れた。総選挙は尹政権の中間評価と位置付けられていたもので、人気のなさが如実に表れた。

韓国事情通は「これまで以上に野党が力を持つため、尹政権はやりたいことができなくなるでしょう」と今後を展望。野党側では曺国(チョ・グク)氏の新党「祖国革新党」が旋風を巻き起こし12議席を得た。共に民主党系と合わせると186議席となる。

曺氏は文在寅前政権の法相で将来の大統領候補と目されたが、子供の入試不正などが浮上し、むいてもむいても疑惑が出てくることから“タマネギ男”と呼ばれて失脚した。曺氏を捜査で追い詰めたのが、当時の曺法相に推薦されて検事総長になった尹氏だった。曺氏の恨みは計り知れない。尹氏を追い落とす手を考えているだろう。

尹大統領は親日派として知られ、日韓間の最大懸案である元徴用工問題の解決策を示し、どん底だった日韓関係を大きく改善させた。自身を支える与党がまさかの大敗を喫したため、日韓関係にも影響が生じるかもしれない。

「歴代大統領は人気が落ちると反日カードを切って支持率を回復させてきました。検察育ちの尹氏は筋が通っていて、『反日感情を政治利用しない』と断言し、どんなに人気が落ちても反日をしないとみられています。とはいえ、歴代大統領が退任後、汚職などで収監されたり、悲惨な末路をたどっています。人気を上げた状態で退任しないと地獄が待っています。尹氏がいつまで反日カードに手をつけないのかは分かりません」と同事情通は指摘している。

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