墨田区 区立小学校で始業式から“2日遅れ”の入学式 教員の負担軽減へ

墨田区の区立小学校で、始業式から2日遅れの入学式が4月10日に行われました。教員の働き方を見直す取り組みのひとつで、23区では初となります。

新学期が始まって2日…墨田区の小学校では4月10日に入学式が行われ、第一寺島小学校では、55人の新1年生が式に臨みました。

(墨田区立第一寺島小学校 高橋誠人校長)
「ご入学おめでとうございます」

墨田区の区立小学校では昨年度まで、始業式と同じ日に入学式を実施していましたが、2つの式の準備が重なるなどして、教員への負担が課題となっていました。そこで今年度から、教員の働き方を見直す取り組みのひとつとして、始業式の2日後に、入学式を実施することにしました。

23区では初となる取り組みに、教員からは歓迎の声が…

(第一寺島小学校 1年生担任 寺田真由美先生)
「色んな書類の準備や、担任同士で教育活動の打ち合わせが少ないというのが、今までの課題だった。今回はそういう時間もしっかり確保できたので、あした(11日)からの授業にも自信を持って臨めると思います」

墨田区では他にも、土曜日の授業回数を半分程度に減らすなど、教員の働き方改革を実施する予定ですが、年間の総授業時間は確保できるとしています。

こうした取り組みに対し、新入生の保護者は…

(新入生の保護者)
「先生の負担が少なくなれば、子どもたちの様子も自然と見えてくると思う。子ども1人1人をちゃんと見られる余裕が生まれると思うので、とてもいいと思います」

(墨田区立第一寺島小学校 高橋誠人校長)
「教員の働き方改革や色々な行事の精選やスリム化にしても、子どもに還らないといけないんです。これらかは働き方改革と共に、授業の質を上げていくことが大切だと思っています」

墨田区の入学式を遅らせるという取り組みは、教員の負担軽減に直接働きかける良い取り組みなんじゃないかなと感じますね。他の区の先生や校長からは「うらやましい」という声も上がっているそうで、この動きは今後広がるかもしれません。

このように行政でも対策が進む教員の働き方改革なんですが、働き方の実態を捉えるために行われたアンケート調査がありますので見ていきましょう。パーソル総合研究所が、去年10月に幼稚園・保育園から高校・特別支援学校まで教員3800人を対象に行った調査です。

まず教員が働くことに対して、「幸せに感じているか」「不幸だと感じているか」調査した結果がこちらなんですが、これを別の調査で出た企業で働く正社員、いわゆるサラリーマンの結果と比べてみます。

すると、幸せと感じる人はどの学校種別で見ても、企業で正社員として働く人よりもわずかに高いという結果になっていまして、さらに不幸と感じる人も正社員よりも低く、「教員という職業だけが特別に大変な職業」というわけではないと言えるかもしれません。

ただ、これを役職別の結果で見ると違った現状が見えてきます。保育士や教頭、校長など役職別の結果では、教諭と教頭・副校長が悪い結果となりました。さらに教諭の中でも、20代が悪い数値となっているということです。

20代の先生は、まだ慣れない中での仕事となり、幸せを感じにくくなることは想像できるのですが、教頭や副校長の数値が悪い理由はどういった点があるんでしょうか?

調査したパーソル総合研究所によりますと、苦情の対応に組織的に対応している学校では、教頭や副校長が多忙になりやすく、学校内外の架け橋としても重要な役割を担っていることから、仕事が集中している学校もあるということです。その他にも教員の負担の一つとも懸念されている部活動については、顧問や副顧問をやりたくてやっている人は、半分に満たない結果となっています。

今後教育改革をどう進めるべきなのか、教育の専門家に聞きました。

(教育アドバイザー 清水章弘さん)
「大事なのは、負担の量よりも負担感。何に対して負担と感じているのかというのを言語化して、DX化をすすめたり仕事を減らしたり、分散していったりしないと意味が無い」

教育アドバイザーの清水章弘さんは、教育改革について、大事なのは負担の量よりも負担感だとしていまして、その上で、まず必要なのはデジタル化だとしています。出欠の確認や試験の採点など、教員の細かい日々の業務や繁忙期の仕事量を抑えるデジタル化の取り組みが必要だと話していました。

教員のみなさんが健全に働くための早急な対策が求められます。

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