開花まであと少し!「鼻顔稲荷神社」朱塗りの柱が鮮やかな懸崖造りと桜の見事な調和は必見です【春の信州でお花見散策】

湯川のほとりに建つ鼻顔稲荷神社。朱塗りの社殿が断崖に張り付いている(撮影:横尾絢子)

桜前線が日本列島を北上しています。見頃が過ぎてしまった場所もあるでしょうが、信州ならまだ間に合います。東信(とうしん・長野県東部)地方、佐久市にある「鼻顔(はなづら)稲荷神社」は、建物と桜の景観が楽しめる、ちょっと変わったお花見スポット。空中に浮いているような社殿に桜の花が映え、春爛漫の雰囲気が楽しめます。

■京都の清水寺と同じ「懸崖造り」の社殿が目を引く!

「中山道」の岩村田という宿場町の中心地から10分ほど歩くと、崖に張り付くように建つ、真っ赤な社殿が見えてきます。社殿は朱塗りの柱で支えられているのみ。その社殿の下には千曲川の支流、湯川がゆったりと流れています。

これが日本五大稲荷のひとつと言われる「鼻顔稲荷神社」。京都の清水寺本堂と同じ「懸崖(けんがい)造り」という方法で建築されているそうです。一部の崖を穿って建立された本殿は、まるで空中楼閣です。

開花間近の桜の蕾(2024年4月9日撮影)

寒い日が続いたこの春、4月になってようやく春めいてきました。敷地の桜は4月9日の段階ではまだ蕾でしたが、今にも綻びそうです。この様子だと見頃のピークは来週になりそうですね。

■桜とのコラボレーションも見事な景観

社殿に寄り添うように咲き誇る桜

歴史は古く、江戸時代の永禄年間に京都伏見稲荷からの御分霊を賜ったと伝わるそうです。社殿の佇まいだけでもインパクトが大きいですが、春になると満開の桜が彩り、その景観は見事です。

入口の大きな鳥居をくぐり、階段を登っていきます。立ち並ぶ朱色の鳥居に、稲荷神社らしい風情を感じます。階段を登り切ると、社殿の入り口です。社殿の入口には巻物と鍵をくわえた2匹の狐が鎮座する御姿殿がありました。

咲き誇る桜の木に近寄ると、桜の枝の間から湯川のゆったりとした流れを見下ろすことができ、川の流れの先には八ヶ岳の山並みも望めます。

■足元を彩るスプリングエフェメラルに癒される

社殿で参拝したあとは、坂をさらに上っていくと、鼻顔公園に出ます。ブランコなどの遊具があるほか、マレットゴルフコースや市営球場、テニスコートなどがあり、なかなかの広さです。球場の駐車場脇にも桜が植えられ、スイセンやユキヤナギも満開で、春爛漫の雰囲気です。足元に目を落とせば、オオイヌノフグリなど、かわいらしいスプリングエフェメラルが咲いていて心が安らぎます。公園の奥には、学問の神様・菅原道真が祀られた天満宮があり、静寂で厳かな空気に満ちていました。

鼻顔稲荷神社は、コンパクトな境内でありながら、長い歴史をもち、東信では比較的有名な神社です。一風変わった建造物との景観が魅力のお花見を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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