山形・文翔館に焙煎の香り 新たな喫茶室オープン「建物の価値も伝える」

文翔館内の新たな喫茶室「Tsuki Cafe」。右が月岡涼二さん=山形市

 山形市の文翔館内に、本格的なコーヒーを楽しむことができる喫茶室が11日にオープンする。運営事業者はJR山形駅東口の大通りでカフェを営業していた男性で、市中心部のにぎわい創出とともに「訪れた人たちに文翔館の素晴らしさを伝えたい」という。国の重要文化財に指定されている同館の価値を踏まえ、「歴史的な建物でゆっくりと過ごしてもらえるような空間にしたい」と意欲を語る。

 男性は同駅東口の大通りで「Tsuki Cafe」を営んでいた同市在住の月岡涼二さん(42)。同カフェは2016年10月から営業していたが、道路の拡幅工事に伴い今年3月末で閉店した。街中で新たな事業展開を模索してきた中、昨年3月で事業者が撤退した文翔館内の喫茶室を知り、県の公募で新たな事業者に選ばれた。

 店名は「Tsuki Cafe文翔館喫茶室」。品質管理を徹底した生豆を原料に、コーヒーの各種競技会に出場歴のあるスタッフたちが焙煎(ばいせん)や抽出を手がける。月岡さんは同市錦町に住み、幼い頃から文翔館や周辺の里之宮湯殿山神社は身近な存在だった。生まれ育った地域で営業できる喜びを口にし、「来店した人に文翔館のことを知ってもらいたい。カフェを目当てに来てくれた方には、文翔館の素晴らしさを伝えたい」と意気込む。

 駅前大通りで営業していた際は外国人観光客の来店も多かったという。月岡さんは「世界中の誰もが満足できるようなコーヒーを出してきた」と話し、引き続き文翔館でも味わってもらいたい考えだ。

 営業時間は午前9時半~午後4時半。同店090(3876)8054。

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