印象派を代表するフランスの画家、クロード・モネの《睡蓮》。淡い青や映り込む木々の緑など、印刷や画像では表現できない色彩…。
《睡蓮》を描くことがライフワークだった
モネは、この絵を描くために、近くの川から水を引いて自宅の庭に池を作り、睡蓮を育てていたという。近隣の住民から若干の苦情を受けながらも、じっくりと描いた《睡蓮》。
モネと並ぶ印象派の巨匠
そして、ピエール=オーギュスト・ルノワールの《アラブの女》や、ポール・セザンヌの《『カード遊びをする人々』のための習作》などの有名な作品の数々。
いろいろな作風の影響を受けた
これらの作品が、今月20日から郡山にやってくることに!東北で唯一、郡山市立美術館で開催される「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」だ。
「わかりやすく、やさしく」印象派の世界にいざなうのは、井上 千沙アナウンサー。郡山に先駆けて「印象派展」を開催していた東京・上野の東京都美術館へ。
「日本酒が大好き!」という福島出身らしい一面も
案内してくれるのは、郡山市出身の大橋 菜都子(なつこ)学芸員。「郡山で印象派の作品が見られるのは、なかなかない機会」と、その貴重さを語る。
印象派は、150年前にフランス・パリで生まれた新しい芸術運動だ。その特徴1つ目は「明るい色彩」。印象派以前の作品と比べてみると、画面が一気に明るくなったのがわかる。
全体的に暗い印象を受ける
クロード・モネ《税関吏の小屋・荒れた海》日本テレビ放送網株式会社
2つ目の特徴が「筆づかい」。素早い筆づかいにより、光や大気などの移ろいゆくものを捉えて絵画にしている。見たものを感じたままに描くのが印象派だ。
離れて見ると、この白い部分が輝いて見える
そして、パリで生まれた印象派はアメリカへと広がっていく。今回の「印象派展」のコレクションの多くは、アメリカ・ボストン郊外にあるウスター美術館からやってきた。
印象派の収蔵に力を入れる
モネと共にパンフレットにもなっているのが、アメリカ印象派を代表するチャイルド・ハッサムがパリ留学中に描いた《花摘み、フランス式庭園にて》だ。
光が散りばめられた明るい印象の作品
「近づくと絵具でさっと描かれているが、離れて見ると輝く光に見える、小径(こみち)に落ちる木漏れ日。そして鮮やかな植物の描き方などに、ハッサムが印象派の技法に習熟してきたことが認められる」と大橋さんは解説する。
赤と白が鮮やかで美しい
印象派の多くの画家は、風景や親しい人々の生活の様子などを中心に描いている。ハッサムも、アメリカの日常の風景を数多く描く。
作品を巡るやりとりも残されている
今回の「印象派展」では、絵画のほかにちょっと珍しいものの展示も。作品の購入に関わる手紙や電報(複製)だ。
例えば、モネの作品を扱うフランスの画廊とウスター美術館の「2点、フランスから蒸気船で送ります。18,000フランと20,000フランとなりますが、それは美術館用に特別に設定した低い価格なので、どうぞほかの人には言わないでくださいね」など、生々しい金額交渉のやりとりを見ることができる。
「一緒にみなさんと楽しんでいけたら」と話す
「印象派展」のオフィシャルサポーター、そして音声ガイドのスペシャルナビゲーターを務めるのは、俳優の鈴鹿 央士さん。福島県民へ「あまり美術を知らない方でも、気軽に足を運んでいただけたら」というメッセージをいただいた。
どの時間帯を描いたものなのか…想像を膨らませるのも楽しい
そんな鈴鹿さんが注目したのが、アメリカのグランドキャニオンを描いたデウィット・パーシャルの《ハーミット・クリーク・キャニオン》。グランドキャニオンまで目隠しをされて連れて行かれ、目隠しをパッと取って見た景色が描かれたという面白いエピソードがある。
これから日本全国でご覧いただく
印象派は、日本へも。今回は郡山市立美術館所蔵の日本人画家の絵画が、2点展示されている。斎藤 豊作さんの《風景》と、太田 喜二郎さんの《サン・ピエール寺院》だ。
入口にある大迫力のメインビジュアル
そして、展示会のお楽しみといえば、フォトスポットやオリジナルグッズ!まず入口では、「印象派展」の顔とも言えるモネの《睡蓮》の巨大ボードが出迎えてくれる。井上アナも、睡蓮を持ち上げてパシャリ。
あなたも印象派の世界に入り込んでみて!
ハッサムの《花摘み、フランス式庭園にて》も…まるでポストカードのようにパシャリ。こうしたフォトスポットが、何か所か設けられている。
「印象派展」にちなんだグッズがたくさん!
そしてショップには、ユニークなグッズも!井上アナが気になったのは、「ウスター美術館」ゆえのウスターソース。このソースの発祥はイギリスにあるウスターという町だが、アメリカのウスターとイギリスのウスターには、姉妹都市というつながりがある。また、まるでハッサムの《花摘み、フランス式庭園にて》を表現しているかのような色彩のポップコーンも。
「不思議な魅力のある絵」と井上アナ
今回の「印象派展」で井上アナが惹かれたのは、ジョゼフ・H・グリーンウッドの《リンゴ園》という作品。「リンゴの木が桜のような可憐な花を咲かせることに驚くと同時に、作品全体の儚い感じや繊細さに魅了された」と話す。
「のどかな雰囲気が福島県にも似ている」と、印象派に親近感を覚えた井上アナ。三春の滝桜を題材に、印象派風の軽やかなタッチで絵を描いてみることに。
躍動感がある力作に
表現したのは、ライトアップされた滝桜の姿。「ふんわりと柔らかい桜だが、ドットで描くことで生命力を感じる力強さも表現した」と話す。感じたままに描くのが、まさに印象派の魅力だ。
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」は、郡山市立美術館で今月20日から6月23日までの開催。中テレのホームページにある「印象派展」のサイトでは、井上アナが描いたゆる〜い感じの学芸員の似顔絵付きの解説も。誰もが楽しめる印象派展の世界へ、いざ!
Chu!PRESS編集部