特許庁、青森県などを知財活用「重点支援エリア」に 中小企業の成長促す

 特許庁は10日、特許や技術、デザインなどの知的財産を中小企業の成長に生かすため、2024年度にスタートする新規事業で、青森県など全国3自治体を「知財重点支援エリア」に選定したと発表した。県は、国から知財関連の専門家の派遣を受け、企業の経営支援に携わる県内の各種機関と連携し、県内企業が取り扱う商品・サービスの付加価値や競争力向上を図る。

 知財には産業と関わりの深い特許、実用新案、意匠、商標のほか、地域ブランドの保護や活用促進を目的とした地域団体商標(GI)なども含まれる。

 特許庁の支援事業は、大企業に比べ経営資源が限られている中小企業に対し、知財は新たな付加価値につながる重要な経営資源と位置付け、持続的に知財活用を促す地域づくりを図る。

 都道府県と政令市を対象に重点支援エリアを公募し、応募があった6地域から青森県、石川県、神戸市を選定した。支援期間は最大で3年間。

 県と県発明協会が共同運営する「県知的財産支援センター」が受け付けた知財関連の相談は、直近の22年度で2520件と、東北6県の公的機関では最多。特許庁は、知財活用支援に積極的な点や、農林水産物の付加価値向上に知財の活用を目指している点を評価して青森県を重点支援エリアに選定したとしている。

 特許庁は、知財を生かした経営支援の経験がある民間のコンサルティング会社に事業を委託し、重点支援エリアへ専門家や特許庁の産業財産権専門官を派遣する。県は派遣を受け、県知財センターを含む専門チームをつくる。具体的な体制づくりはこれからだが、弁理士や商工団体、金融機関、21あおもり産業総合支援センター(21財団)などの参画を想定している。

 県は知財に携わる人材の育成や、知財を活用する意識の啓発にもつなげたい考え。県知財センターの工藤ユミ総括主幹は「企業や支援機関も含めて、地域全体で知財活用への意識の底上げを図りたい。収益アップのため、多くの企業が知財を戦略的に経営へ組み入れる動きにもつながれば」と話した。

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