公務員の彼氏との「結婚」を迷っています。毎回「10円単位」で割り勘を求められるのですが、30歳でもあまり余裕はないのでしょうか? 正直それくらい気にしないでほしいです…

30歳公務員の給与は?

公務員の給与は、国家公務員と地方公務員で違いがあります。給与月額の7.5割を手取り金額と仮定して計算し、それぞれ確認してみましょう。

国家公務員については、人事院が実態調査を行っています。令和5年の調査によると、30歳前後(28歳以上32歳未満)の平均給与月額は29万3171円で、手取り金額は21万9878円と試算されます。

一方、地方公務員については総務省が実態調査を行っており、令和4年の調査では30歳前後(28歳以上31歳以下)の平均給与月額は23万4204円で、国家公務員より低めとなっています。手取り金額を計算すると17万5653円です。

いずれも経験年数を重ねれば、給与は上がっていく傾向にあります。一人暮らしには十分な金額と思うかもしれませんが、生活費がいくらかかるかによりデートに使えるお金は変わってくるでしょう。

生活費からデートに使えるお金を計算してみよう

総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年」によると、34歳以下の単身男性で勤労している世帯の1ヶ月あたりの生活費(消費支出金額)と内訳は図表1のようになっています。

図表1

総務省 家計調査年報(家計収支編)2022年 単身世帯・勤労者世帯 より筆者作成

先述した手取りの給与から、この生活費を差し引いた余剰金額は以下のようになります。

【国家公務員の場合】
(手取り給与)21万9878円 -(生活費)15万9287円=6万591円

【地方公務員の場合】
(手取り給与)17万5653円-(生活費)15万9287円=1万6366円

この金額から、デートの際の外食代や娯楽費を出さなければならないということになります。特に地方公務員は1万6566円からまかなう必要があり、毎回ここから二人分を支払うのは厳しい事情も想像できます。余剰資金の少なさがデートで「割り勘」を求める背景の一つとなっているのかもしれません。

もちろん支出の内訳や金額は個々の生活事情によって前後しますので、参考値として捉えてください。

公務員の給与以外での魅力とは

公務員は給与以外の面での魅力が大きいところも特徴です。民間の結婚相談所によると、公務員が「結婚したい人気職業ランキング」で上位になることも多いです。その理由としては以下のような点が挙げられます。

【安定した収入が見込める】

公務員は年功序列による給与体系であり、ほぼ終身雇用に近いため、収入が安定しているといわれています。子どもをもうけたり、マイホームを建てたりするなどの将来設計をしやすく、家庭を築く上で大きな安心感があるでしょう。

【諸手当が充実している】

給与にプラスされる手当も魅力の1つで、例えば以下のようなものがあります。

__●地域手当:勤務する地域によって支給
●期末手当・勤勉手当:主に夏と冬にボーナスとして支給
●扶養手当:配偶者や子などの扶養する家族がいる場合に支給
●住居手当:賃貸住宅の家賃補助として支給__

【仕事と生活のバランスが取れる】

有給休暇や特別休暇などの利用により、プライベートの時間が確保しやすく、パートナーが公務員の場合、家事や育児への協力が得られやすいでしょう。

【社会的信用が高い】

マイホームや車の購入でローンを組むにあたり、公務員は金融機関からの信用が高く、ローンが通りやすいといわれています。

このように、給与以外の手当や安定性、仕事以外の生活を比較的大事にしやすい環境などが、公務員を人気職業に押し上げている要因と考えられます。

若い頃は経済的な厳しさから、公務員の彼氏から割り勘を求められることもあるでしょう。しかし、長期的な視点で見れば、共に家庭を築いていくパートナーとしては、ありがたい条件や魅力も多いのではないでしょうか。

まとめ

30歳の公務員の場合、手取り給与から生活費を差し引くと、余剰金額はそう多くはありません。デート代の割り勘を求められるのも無理はない状況かもしれません。

しかし、給与は年齢とともに上がるほか、福利厚生面や安定した雇用などの魅力も大きいのが公務員の特徴です。若い頃はやや経済的に厳しい面もあるかもしれませんが、長期的には十分に魅力的な職業であるといえるでしょう。

出典

人事院給与局 令和5年国家公務員 給与等実態調査 報告書
総務省 令和4年地方公務員給与の実態
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)

執筆者:渡邉志帆
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