ソニー、4K旋回型カメラのフラッグシップモデル「BRC-AM7」発売。AI性能を高めた「PTZ オートフレーミング機能」搭載

ソニーは、AI技術による高度な認識機能で正確かつ自然な自動追尾撮影を可能にし、4K60Pでの撮影など高品位な映像制作を実現するレンズ一体型4K旋回型カメラのフラッグシップモデル「BRC-AM7」を2025年初頭に発売する。希望小売価格はオープン。市場推定価格は税込1,540,000円前後。

高い画質性能

1.0型の4K対応積層型CMOSイメージセンサーExmor RSと、最新の画像処理エンジンBIONZ XRを組み合わせることで、4K60Pの高解像かつ低ノイズでの撮影を実現。5K オーバーサンプリングにより、解像感の高い4K映像が撮影できることに加えて4K HDR撮影にも対応。明るい場面から暗い場面までをくっきりと描写できるという。

新開発の一体型レンズは、光学20倍ズームと、解像感を保持したまま高倍率ズームが可能な全画素超解像ズームを備え、4Kで最大30倍までの望遠撮影が可能。

また、独自の電子式可変ND フィルターを内蔵し、フィルターの透過率を1/4~1/128までシームレスに調整できる。被写界深度を変えずに露出を調整できるほか、オート設定によって常にカメラ側で設定した光量に自動調節することも可能。外光で明るさが変化する環境での撮影や、照明効果のある舞台の撮影など、さまざまな環境での撮影に対応する。

進化した「PTZ オートフレーミング機能」

AIを活用した「PTZ オートフレーミング機能」は、高度な認識機能により、人物の骨格、頭部、顔、服装などの詳細な情報に基づいて被写体を自動追尾する撮影機能。本機に搭載された「PTZ オートフレーミング機能」では、新たにオートフォーカスとの連携機能を追加している。Exmor RSイメージセンサーとBIONZ XRの高い画像処理能力により、広範囲かつ高精度でフォーカスを合わせ続けながら、「PTZ オートフレーミング機能」による自動追尾撮影を実現する。

また、0.004度/秒の超低速から180°/秒の高速までの動作を、NC25以下の静音で実現する、新開発のパン・チルト旋回機構を搭載し、より静かで滑らかな追尾が可能。ステージ上で動き続けるパフォーマーの撮影やスポーツ競技の撮影といったシーンでも、動きに合わせたきめ細やかなフレーミングで捉えられることに加え、クラッシックコンサートの撮影など静音性が重要となる場面でも活用できるため、撮影シーンの幅を広げるとしている。なお、カメラの構図をあらかじめ登録して呼び出せるプリセット機能も搭載している。撮影者が変わっても同じ構図でのカメラワークを再現できるなど、より効率的な撮影にも貢献する。

優れたシステム構築性

本機は、ソニーの映像制作システムと連携する多様な機能を備えている。カメラ間での色合わせを容易にする「ITU709」や「709tone」、「S-Cinetone」、「S-Log3」などのルックを搭載することに加え、GENLOCK端子やマスターセットアップユニット「MSU-3000」、「MSU-3500」、リモートコントロールパネル『RCP-3501』などにも対応し、マルチカメラでの運用が可能。ソフトウェアスイッチャー「M2L-X」、クラウドスイッチャー「M2 Live(エムツーライブ)」との連携も可能。

また、小型軽量の筐体は、カメラの設置が難しい場所での撮影にも対応。大容量の内部記録に対応するほか、天井やクレーン、ステージ上のバトンなどへの設置や、底面に設けた3/8-16 UNC および1/4-20 UNC のネジ穴で三脚からの撮影にも対応するなど、人が入りづらい場所やさまざまなアングルからの撮影を可能にする。

電源は汎用性の高いXLR 4ピン端子に加えて、PoE++(Power over EthernetPlus Plus)にも対応。この規格に対応したネットワーク機器に接続することで、LANケーブルからの給電も可能となるため、電源の無い場所でも工事不要で給電できる。

映像出力は12G-SDIとHDMIのほか、モニター出力用として3G-SDIに対応。音声入力はXLR 3ピン端子のチャンネル2本と、Φ3.5mmステレオ入力を搭載。豊富な映像出力インターフェースと音声入力で、既存の撮影システムへの追加や撮影現場に合わせたシステム構築が可能としている。

新たな映像制作を可能にするIP、free-d 対応

SRTやRTMP、RTSP、NDI光ファイバーに対応し、IPネットワーク経由でのリモート制作が可能。VISCAover IPやS700PTPプロトコル、CGIに対応し、外部コマンドによるリモートでのカメラ制御が可能なほか、IP Tallyにも対応し、リモート制作を幅広くサポートする。

また、ARやVRなどのバーチャル制作で活用されるfree-dプロトコルにも対応。カメラのトラッキング情報(パン/チルト/ズーム/フォーカス/アイリス)を3D空間に正確に出力できるため、実際の人物を撮影した映像と3DCGの背景やキャラクターなどを、違和感のない合成映像として制作できるという。

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