映画も音楽の趣味も偏っていますが、さすがにエルヴィス・プレスリーはよく知ってる地域特派員のめりしゃんです。
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14歳で出会ったことを知ってびっくり
当時すでにスーパースターだったエルヴィス・プレスリーが兵役で西ドイツ赴任中に出会ったプリシラ・アン・ボリューはその時14歳。
アメリカ軍将校である父の転属で西ドイツに暮らしていたプリシラの退屈な生活は、エルヴィスとの恋で一変します。10歳も年が離れた大人のエルヴィスに出会い、年齢を訊かれて「9年生よ」と答えるプリシラ。14歳と答えるのはためらわれる状況だよねえと思います。大反対した両親も折れてデートを重ねるふたりでしたが、エルヴィスがアメリカに帰る日が迫り...。
スーパースターとの幼い恋は甘くとも
14歳と24歳の恋愛なんて、当時でも親にとってはとんでもない出来事だと思います。しかもお相手はスーパースターのエルヴィス・プレスリー。現代だったら「不適切にもほどがある」ってところでしょうか?
この現代だからこそ、ソフィア・コッポラ監督はエルヴィスではなく、プリシラという女性を主人公にした映画を作りたかったのかなと思います。
恋に落ちた14歳の少女はもうエルヴィスしか見えていない盲目状態。アメリカにもどり、大邸宅でスーパースターの生活をするエルヴィスとの長距離恋愛が始まります。当時は手紙と電話だけ。やっと渡米し、エルヴィスの邸宅から高校に通い、卒業後に結婚。まだ10代のプリシラは、自分の意見もエルヴィスに認められることはなく、髪型や化粧や着る服もエルヴィスの言うがままのお人形のような存在。浮気をされても文句ひとつ言えません。
映像が美しく表面的に甘く切ない恋物語に見える、その奥にある何かがひしひしと伝わります。(これは歳のせいかしら?ついお母さん目線で見てしまうのです)
プリシラはやっと大人になった
結婚後すぐに妊娠・出産して母になったプリシラは、少しずつ変わっていきます。内側の変化は外見に現れて、着るもの、髪の色も変わります。空手を習い始めたときには、そのうちエルヴィスをぶん殴ってくれるのではないかと思ってしまいました!
いろんな経験をして、痛い目にあって、歳をとっていかないとわからないこと、見えてこないことってありますね。プリシラにもだんだんとエルヴィスと自分の関係が見えてくるようです。
「プリシラ」は見る人によって随分印象が違う映画かもしれません。60年代の生活、シャネルやヴァレンチノのファッション、音楽、見どころはたくさんです。エルヴィス・プレスリーのことを知らなくても、プリシラの人生についつい引き込まれてしまそうになります。
https://youtu.be/f8nma94SO9M?si=8L-2w593AA5Q1T91
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プリシラはエルヴィスの妻だった人、監督・脚本のソフィア・コッポラはあのコッポラの娘...と、書くことにちょっと抵抗があります。ソフィア・コッポラは「マリー・アントワネット」などヒット作もたくさん。女性を描くそのスタイルが好きです。
この映画の主人公は「プリシラ」、そして監督はソフィアです。誰かの妻や、誰かの娘である前にひとりの人間です。エルヴィスはこの映画では添え物、脇役です。
エルヴィスの曲を知っていても、プリシラのことは全然知りませんでした。むしろ、娘のリサ・マリーのほうがマイケル・ジャクソンの妻だったことで有名だったような気がします。誰かの妻という記憶しかないってちょっと寂しい。
「プリシラ」
kino cinema 天神、ユナイテッドシネマキャナルシティ13、シネプレックス小倉、T・ジョイ久留米、ユナイテッド・シネマなかま16、ユナイテッド・シネマトリアス久山、他、4/12全国ロードショー
監督・脚本 ソフィア・コッポラ
出演 ケイリー・スピニー、ジェイコブ・エロルディ
配給:ギャガ
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