バイデン氏、ネタニヤフ氏を「間違っている」と批判 米政府内では圧力不足との意見も

アメリカのジョー・バイデン大統領が、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相について、パレスチナ自治区ガザ地区で「間違い」を犯しているとの考えを表明した。9日に放送されたテレビのインタビューで述べた。バイデン政権はこのところイスラエルに批判的な姿勢を強めているが、不十分だとの意見が政府関係者からも聞こえている。

インタビューは約1時間で、アメリカのスペイン語放送局ユニヴィジョンが3日に収録し、9日夜に放送した。

この中でバイデン氏は、「彼(ネタニヤフ氏)のやっていることは間違いだと思う。彼のやり方には賛成しない」と述べた。

深刻化するガザの人道危機をめぐっては、「私が求めているのは、イスラエルが停戦を呼びかけ、今後6週間や8週間、運び込まれるすべての食料と医薬品を(住民らが)手に入れられるようにすることだ」とした。

バイデン氏は先週、アメリカがイスラエルを支持し続けるかは、同国がより多くの食料と医薬品をガザに入れるかにかかっていると警告していた。

イスラエルは、支援物資の搬入や配布を妨げていないと主張し、ガザの国連機関が支援物資を必要な人々に届けられていないと非難している。

バイデン氏は一方、ガザで1日、人道支援活動をしていた米拠点の慈善団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」のスタッフ7人がイスラエル軍の空爆で殺害されたことについては、団体の車両が「ドローン攻撃によって主要道路で破壊された」のは「言語道断」だと述べた。

アメリカでは政府のイスラエル支持を批判する声が高まっている。バイデン氏はここ数週間、イスラエルの半年にわたる軍事行動やネタニヤフ氏について厳しい言葉を発している。

ただ、アメリカからイスラエルへの爆弾、ミサイル、弾薬などの軍事物資の供給は、途絶えることなく続いている。

米政府内でもイスラエル政策を批判

こうしたなかアメリカでは、バイデン氏がイスラエルにかけている圧力はガザの人道危機を解消するには不十分だとの批判が、政府関係者からも出ている。

BBCは今回、米政府の現職員と元職員の計7人に意見を聞いた。その結果、バイデン政権の政策に対する不支持が内部で膨らみ続けていることがうかがえた。

国務省で人権問題を担当し、抗議のため2週間前に辞職したアネル・シーライン氏は、WCK職員がイスラエル軍に殺害された後にバイデン氏がイスラエル支持の見直しを示唆したことについて、政府の強硬姿勢としては「小さすぎるし、遅すぎる」と批判。「これは数カ月前にできたはずで、そうしていればガザ北部の飢餓は防げた」とBBCに述べた。

国家安全保障部門で25年働いている政府職員(匿名を希望)は、バイデン政権のイスラエル政策に対する反対意見が、政府内部でこれまでになかったほど「深く、広く、絶望的に」なっていると説明。バイデン氏が先週、圧力を強めたのは歓迎すべきだが、この職員らが求めている「道義的緊急性」が十分に反映されていないとした。

匿名を条件に取材に応じた別の政府職員は、メッセージアプリのシグナルやワッツアップの少なくとも10以上のチャットグループで、バイデン政権があまりに簡単にイスラエルの言い分を受け入れていることへの憤慨や不信を吐露しているとBBCに明かした。

「多くの人々が目を丸くしている。(中略)みんなが矛盾や誤りを素早く指摘している」

さらに別の政府職員は、WCK職員が殺害されたのを受けて米政府が圧力を強めたのは、「パレスチナ人の命は重要ではない」とのメッセージを送ることになったと述べた。

支援活動者の死亡を記録している団体「ヒューマニタリアン・アウトカムズ」によると、ガザでの戦争が始まって以降、200人近くのパレスチナ人支援活動者が殺されている。

(英語記事 Israel Gaza: Netanyahu making a 'mistake', says BidenBiden pressure on Israel not enough, say dissenting US officials

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