岸田訪米は不可解の連続…国賓待遇なのにナゾ扱い、贈り物や夕食会にもミスチョイス感満載

意味深だった公式夕食会(岸田首相と裕子夫人、バイデン米大統領とジル夫人)/(C)ロイター

米国における「キシダフミオ」は一体何者なのか──。落ち目の岸田首相が政権浮揚をかける国賓訪米でナゾの扱いを受けている。恒例のプレゼント交換では、岸田首相の趣味とかけ離れた贈り物をバイデン大統領から渡され、厚遇演出の場である公式夕食会もジル夫人の好みを優先。ひょっとして誰かと間違えられているのか。否、そんなもんなのか。

◇ ◇ ◇

岸田首相の訪米日程は日本時間8日から14日まで。狙い通り、報道の多くが外遊に割かれ、自民党の裏金事件はかき消されつつある。10日は、ホワイトハウスからレストランへの移動で大統領専用リムジン「ビースト」に乗ったと大騒ぎ。「ビーストに他の国の首脳を同乗させるのは極めて異例で、両首脳の親密さを示すものだ」という日本政府関係者のコメントも報じられた。外遊の成果が強調されているが、発端となったバイデン大統領のX(旧ツイッター)への投稿は淡泊なものだった。

〈Great to have you back in the States, Mr. Prime Minister〉

首相が米国に戻ってきてくれてうれしい──2ショット写真付きでそう書き込んだ割には、岸田のキの字も文雄のフの字もない。ホワイトハウス訪問のお決まりである首脳夫妻同士のプレゼント交換も妙だった。岸田首相が贈ったのは、能登半島地震で被災した石川県の伝統工芸品「輪島塗」のコーヒーカップセットとボールペンなど。カップに夫妻のファーストネームを蒔絵で入れる気の使いようだ。裕子夫人は富山県名産「高岡銅器」のアクセサリーをプレゼント。

日本にとって重要な会談なのに一貫してチグハグ

バイデン大統領から贈られたのは特注額縁のリトグラフ、歌手ビリー・ジョエル氏のサイン入りLPレコード2枚組など。ジル夫人からはサッカー女子日米代表のサイン入りサッカーボールだった。

「総理が洋楽をたしなむなんて聞いたことがありません。スポーツの好みでいえば、地元球団の広島東洋カープの熱烈ファンで、夫人もどちらかといえば野球寄り。女子野球W杯関連イベントの始球式で見事に投げ込んでいました」(自民党関係者)

ちなみに、同じく野球好きの韓国の尹錫悦大統領が夫妻で国賓招待された際のプレゼントは、プロ野球選手が使用したバットやグラブ、ボールなどのビンテージコレクションだった。

11日の日米首脳会談と共同会見後に開かれた大統領夫妻主催の公式夕食会に招かれたゲストは、世界にファンを広げる音楽ユニット「YOASOBI」と、ジル夫人お気に入りの歌手ポール・サイモン。代表曲は「恋人と別れる50の方法」、デュオ「サイモン&ガーファンクル」の「サウンド・オブ・サイレンス」だ。映画「卒業」の主題歌として知られる。9月の自民党総裁選での岸田退陣、そして11月の大統領選のバイデン敗北を先取りしているのか。いずれにせよミスチョイス感は否めない。

政治ジャーナリストの泉宏氏はこう言う。

「今回の首脳会談は『日米同盟の深化』の掛け声の下、軍事的な一体化が推し進められた。日本周辺で有事が発生した際には在日米軍ではなく、自衛隊が矛の役割を果たすと世界に発信したのです。日本にとって非常に重要な会談にもかかわらず、訪米は一貫してチグハグ。非常に強い危惧を抱いています」

帰国したら再び袋叩き必至だ。

© 株式会社日刊現代