中国製新エネ車の国際的な優位性、源泉はどこにあるのか

中国製新エネ車の国際的な優位性、源泉はどこにあるのか

中国の新興電気自動車(EV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)の安徽省合肥市にある第2先進製造拠点の内部。(2023年10月11日撮影、合肥=新華社配信)

 【新華社合肥/パリ4月11日】欧州連合(EU)はこのほど、中国から輸入する電気自動車(EV)に対して税関での登録を実施し、今後対象車両に「遡及的関税」を徴収する可能性があるとする通知を出した。英国や米国は中国製EVに対する反ダンピング調査や国の安全保障リスク調査の実施に向けた準備を進めている。中国製EVが海外進出の中で「逆風」に遭遇していることは、関係国が「公平な競争」「国家の安全保障」の名目で保護主義を進め、貿易障壁を設け、市場経済の原則や世界貿易機関(WTO)のルールに背いていることを示すとともに、中国の新エネルギー車(NEV)産業の国際的な競争力が日増しに高まっていることも浮き彫りにした。

 新華社記者がことほど現地での訪問調査を通じて、中国のNEV産業が持つ国際競争上の優位性は決して補助金によって支えられ、守られているのではなく、サプライチェーン(供給網)の完全性や産業集積度の高さ、十分な市場競争、超巨大市場による技術更新の加速などの要因によるものであることが明らかになった。中国のNEVは世界の消費者に多様な消費の選択肢をもたらすだけでなく、ますます多くの国によるグリーン(環境配慮型)で低炭素な構造転換と持続可能な発展の実現を後押ししている。中国の自動車産業は新エネルギー化の先発優位性を、世界の自動車産業を変革へと導く新たなエネルギーへと転化しつつある。

 ドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループは2023年、ドイツ本社以外で最大規模の研究開発センターを中国安徽省合肥市に設立した。同グループはここ数年、同市で積極的な布石を続けており、同市をドイツ国外におけるNEVの先進的な生産や研究開発、イノベーションの中心地とすることに力を注いでいる。VWの中国法人、大衆汽車集団(中国)のラルフ・ブラントシュテッター董事長兼最高経営責任者(CEO)は「活力に満ちた市場環境の中では、高速な発展が競争力を保つ鍵だ」と語り、VWが中国の産業エコシステムに完全に融合しつつあるとの考えを示した。

中国製新エネ車の国際的な優位性、源泉はどこにあるのか

広東省肇慶市の小鵬汽車智能網聯科技産業パークで稼働中の組み立てライン。(2023年10月9日撮影、肇慶=新華社記者/鄧華)

 中国のNEV産業は市場規模が非常に大きい上、力強い成長の潜在力を持っている。中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、昨年の中国のNEV生産台数は前年比35.8%増、販売台数は同37.9%増で、市場シェアは31.6%に達した。また、世界のNEV販売台数の65%近くを中国のNEVが占めており、すでに9年連続でNEV生産・販売台数世界一となっている。

 中国のNEV製品が市場に認められているのは、スマート運転、スマートコックピットなどのスマート化技術力のおかげでもある。世界的に見て、中国企業は量産レベルや更新速度のいずれにおいても優位性を示しており、より迅速で効率的な更新イノベーションサイクルを実現している。

 世界的な市場競争の中でもたらされた技術革新や確かな品質により、中国のNEVは欧州で広く受け入れられている。欧州の環境保護団体「トランスポート・アンド・エンバイロンメント」(T&E)の研究では、今年EUで販売されるEVの4分の1は中国製で、去年の19.5%より大幅に高まる見込みであること、EUのEV市場に占める中国ブランドの割合は11%で、27年には20%にまで上昇する見込みであることが示された。

中国製新エネ車の国際的な優位性、源泉はどこにあるのか

ケープタウンのバスターミナルで、中国電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)の電動バスに乗り込む人々。(2月28日撮影、ケープタウン=新華社配信)

 欧州新車アセスメントプログラム(ユーロNCAP)のミヒール・ファン・ラティンゲン事務局長は、ますます多くの中国製NEVが欧州市場に進出し、現地消費者の選択肢が増えたとコメント。中国の自動車企業が欧州で得た業績は、その技術革新や安全の確保、環境保護、品質の向上といった面での進歩と直接関係しているとの見方を示した。

 英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズCEOは、ますます多くの中国自動車ブランドが英国市場に進出することに英国の消費者がオープンな態度を示しており、中国ブランドの参入が現地の消費者や自動車産業に対して健全な競争によるEV価格の低下、産業イノベーションの促進といったメリットをもたらしていると指摘した。

 フランス北部オー・ド・フランス地域圏に建設中の「バッテリーバレー」に、中国のNEV産業チェーンの川上、川下企業が参加して注目を集めている。北フランス地方投資促進開発局のヤン・ピトレCEOは「バッテリー技術とEV分野で中国企業は真の優位性を得ている。われわれは中国企業とパートナーシップを確立し、その先進技術から利益を得ることを心から望んでいる」と語った。

 国連環境計画(UNEP)の持続可能な交通部門で責任者を務めるロブ・デ・ヨング氏はこのほど、中国が電気化やEV普及のリーダーであるとした上で、中国が全世界、特にグローバルサウス向けに経験を共有し、中国の技術によって世界に手頃な価格のEVを普及させていくことに期待を示した。

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