夫を探して45分 スマホ禁止で“昭和”みたい?/マスターズの現場から

はぐれてしまったら、待つしかない(撮影/高藪望)

◇メジャー第1戦◇マスターズ 事前(10日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555 yd(パー72)

開幕前、練習場にてタイガー・ウッズを発見。カメラマンに伝えて撮影してもらわねば。LINEしようとお尻ポケット(いつもスマートフォンが入っている)に手を伸ばしたら、ポケットはぺったんこ。そうだ、スマホ使えないんだ…。

皆さん、お連れ様を探しています(撮影/高藪望)

「マスターズ」ではスマホをはじめ、コース内への通信機器の持ち込みが禁止。我々メディアも一緒で、仮に違反して見つかろうものなら取材パスを没収されてしまう。おとなしく、プレスビルディング(メディアセンター)に置いておくしかない。オーガスタに入って以来、反射的にお尻ポケットへ手を伸ばして「あー…」とため息をついた数は10回を超えました。

そんな風にため息まじりで歩いていると、大行列のゴルフショップ前で不思議な人だかりが。ひたすらショップの出入り口を見つめ、立ち尽くす人々。誰か有名人でも出てくるのかと思いきや、その中の一人が「夫を探しているの!」。ああ、なるほど。連絡が取れないから、お連れの方とはぐれても待ち続けるしかないんですね。

パートナーをひたすら待ち続けるなんて、ちょっとロマンチック…とはいかないらしい。先ほどのマダムは45分後にショップから出てきた夫と合流するなり「アンタ、何時間買い物してるのよ!」。まあ、そうなりますよね。

緊急連絡は公衆電話で(撮影/高藪望)

会場内には、緊急連絡のために公衆電話が設置されている。選手のスタート時間を知らせる掲示板に張られた紙には、「Charley, CALL WIFE!(チャーリー、奥さんに電話しろ!)」と殴り書きの文字が。なんだか昭和時代にあった駅の伝言板みたい。

「CALL WIFE」を撮影しようと、再び右手がお尻ポケットに…。あー、またやっちゃった。でも、道行くギャラリーがスマホではなく選手や景色を見ている姿は、なんだかちょっと気持ちがいい。(ジョージア州オーガスタ/谷口愛純)

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