宇佐美貴史のFKなぜ不発に? 横浜FMゴール側からの情景「僕としては助かりました」

ポープ・ウィリアムが宇佐美貴史(左)とのFKシーンに言及【写真:徳原隆元 & Getty Images】

横浜FM守護神ポープ・ウィリアム、終盤のFK場面に言及

横浜F・マリノスは4月10日に行われたJ1第3節延期分のガンバ大阪戦に2-0で勝利した。試合後の記者会見で横浜FMのハリー・キューウェル監督は「ガンバ大阪は素晴らしかった」と話したようにG大阪が良い攻撃を繰り広げたなかで、決定力の違いを横浜FMが見せた。

勝敗のカギになりそうな場面はいくつかあったが、後半アディショナルタイム1分のワンシーンも、その1つだろう。G大阪の攻撃の中心だったFW宇佐美貴史がドリブルでボールを運び、ペナルティーエリア手前で倒されて直接FKを獲得した場面だ。

試合終盤の直接FKといえば、今シーズンの開幕戦で宇佐美は快進撃を続けるFC町田ゼルビアからゴールを挙げていた。その時を思い起こさせる場面で、横浜FMのゴールマウスにいたのは昨シーズンまで町田に在籍していたGKポープ・ウィリアムだった。宇佐美とDF中野伸哉がボールの前に立つなかで、ポープは宇佐美が蹴ってくることを読んでいた。

「全然、駆け引きは特になかったというか、出てきたボールで勝負しようと思っていました。(宇佐美は)自信があると思いますし、決めているということもあったので、間違いなく宇佐美選手が蹴ってくると思っていました。先に動かないで、壁の上を越されて良いところに落とされたら、GKとしては分が悪いですが、出たところ勝負というか、しっかり来た球に対応しようと思っていました。壁の右側に蹴ってくれたので、僕としては助かりました。多分、僕が先に動くと思ったと思うのですが、僕が逆にリスペクトしていたというか『いいところに来たら、仕方がないな』くらいに考えていたので」とポープは言う。

絶好のチャンスで宇佐美が蹴ったボールは、ポープの正面を突く形になり、横浜FMの守護神はしっかりボールをキャッチしてこのピンチを凌いだ。「僕が先に壁のほうに動いていたら、間に合わなかったと思いますね。ボールスピードも結構あったので。(壁の)どこを越えてくるかにもよりますが、どうしてもこっちはリアクションになるので遅れてしまう。良いところに来たら入ってしまいますが、僕はただ先に動かないことにして、結果的にそれが良かったと思います」と、自身のセーブを振り返った。

シュート数で圧倒されながらも勝利、苦しいなかでの1勝の価値強調

公式記録のシュート数では、横浜FMの12本に対し、G大阪は22本ものシュートを放ち、そのうち9本は枠を捉えた。そんな試合で無失点に抑え、ダメ押しゴールを決めて勝てたことは大きな意味を持つ。ポープも「本当に大きいですね」と頷く。

「シュートも相当打たれましたが、正面に飛んできたシュートもたくさんありました。DFが本当に踏ん張って、我慢強くやってくれたと思います。シュートブロックもあったし、最後に足先に当ててくれた部分もたくさんあったので、チーム全員でゼロで凌いだ感じですし、逞しい最終ラインを含め、全員がハードワークしてくれました。こういう上手くいかないゲームでも勝ち切れたのは大きいので、良かったです」

また、得点を挙げたのが、エースのFWアンデルソン・ロペスと交代出場したMF植中朝日だったことの意味も大きいと続ける。「(アンデルソン・ロペスは)すごいですよね。決め切る能力が。(昨季)得点王になっているだけはありますし、本当に頼りになります。交代で入ってきた朝日も結果を出してくれた。交代で入った選手が結果を出してくれることは、チームの競争の面でも良いこと。全員が総力戦で戦えていることが示せていると思いますし、チームにはポジティブに働く勝利だと思います」と、この試合の勝利の意味を強調した。(河合 拓 / Taku Kawai)

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