【湘南】横浜戦の守護神は誰が務める? 前節途中出場の馬渡洋樹が意気込み「“出たらやってやる”。それが日々の原動力」

4月13日、湘南ベルマーレはJ1第8節で横浜F・マリノスと敵地で対戦する。

注目すべきは、正守護神の人選だ。韓国代表GKソン・ボムグンは、前節のサンフレッチェ広島戦(0-2)でレッドカードを受けて退場し、1試合の出場停止。広島戦で代わってゴールマウスを守り、今季初出場を果たした馬渡洋樹のほか、富居大樹と真田幸太にもチャンスがある。

その馬渡は、広島戦を次のように振り返る。

「45分くらいの出場だったので、足をつるほどでもなかった(笑)。正直、まだ着替えてもいなかったので、身体の面で驚きはありましたが、心の準備はできていました。PKは決められても仕方ない、くらいの気持ちで入ったんです。失点してズルズルいくより、切り替えた方が良いと思ったので。だからこそ、一定の安定感は出せたのかなと。負けてしまったけど、個人的には、やれることはやった試合でした」

馬渡は2022年シーズンのJ1初先発を果たした第20節・ガンバ大阪戦で、前半から足をつってしまうアクシデントを経験。また、同じく先発した翌年の第27節・北海道コンサドーレ札幌戦でも終盤に足をつってしまった。それでもこの21番は、両ゲームでクリーンシートに貢献し、チームを勝利に導いた。

前節の広島戦では、後半開始早々にソン・ボムグンがエリア内で相手FWを抱え込んでで倒してしまい、一発退場。馬渡は満足なウォーミングアップも行なえなかったなか、ワンプレー目がPKと難しい立ち上がりだった。

PKは決められてしまったが、その後は落ち着いたプレーを披露。特に、左からのクロスに合わせた満田誠の至近距離のヘディングシュートを凌いだ86分の場面と、90+3分に加藤陸次樹のミスを誘った1対1のシーンは、日々の準備の賜物と言えるだろう。

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ふたつの場面を、馬渡はこう回想する。

「(86分のシーンは)セオリーなら、クロスを上げられてから走るのではなく、予測して動いて、シュートを打たれる瞬間にはすでに止まっているのがベストです。この場面は、クロスを追うように、走りながらの対応になった。自分が進んでいる方向の逆にシュートを打たれて失点していたら『(クロスを上げた側の)ニアに寄りすぎていた』と言われてしまうシーンです。今回はたまたま進行方向にシュートが来て止められたので、結果オーライでしたが。

手応えを感じたのは2本目(90+3分のシーン)。加藤選手にパスを出す前、大橋(祐紀)もシュートを打てる距離だったので、まずはそちらを対応した。大橋がパスを出した瞬間、加藤選手がどフリーなのは分かっていたので、ワンタッチシュートを警戒し、トラップした瞬間に距離を詰めました。もし圧をかけなければ簡単に決められていたはずですし、視野を広く取ってのプレーは日々の練習から心がけているので、積み重ねの重要性を再確認した場面でもあります」

好守を見せたが、90+6分に被弾。これは際どいコースに流し込んだ大橋を褒めるべきだろう。

馬渡は2失点を喫したとはいえ、広島戦でアピールに成功したと言える。昨季の第28節、国立開催の川崎フロンターレ戦以来に先発の座を射止める可能性のある29歳は、次節の横浜戦へ、次のように意気込む。

「自分は出場機会が多くないので、普段は声掛けなど、チームの雰囲気を良くする行動を心掛けているけど、心の内では“試合に出たい”と強く思っています。プレーを見せる回数が少ないからこそ“出た時にはやってやろう”という気持ちがあって、それが日々の原動力になっています。

マリノス戦で試合に出られる保証は一切ないけど、もし出られたら、自分の武器であるビルドアップやパントキックで相手の隙を突いて、攻撃を助けたい。監督からも『ボールを取ったらすぐに前を意識しろ』と要求されているので、積極的なプレーを見せられれば」

本人が言うように、横浜戦の先発の座が確約されたわけではない。それでも、横浜の強みであり、弱点でもあるハイラインのスタイルに、馬渡の高精度のキックは効くように思える。

試合までのトレーニングでアピールを続けて、今季初スタメンを掴めるか。いずれにせよ、4月13日は湘南の守護神に要注目だ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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