八杉神社の通史まとめる 過去からの教えを未来へ 横浜市港北区

流域地域学研究を手にする小谷田さん(右)と村上さん

大豆戸町在住の小谷田作夫さん=人物風土記で紹介=と村上芳信さんは、小谷田さんが代表を務める八杉神社郷土史研究会として八杉神社の歴史を研究し、村上さんが発行する通史「流域地域学研究」(創刊号・2号)でまとめた。

発足のきっかけは、大倉精神文化研究所の客員研究員である村上さんが同神社を研究していたこと。約2年前に、同神社奉賛会副会長の小谷田さんが村上さんの活動に興味を持ち、共に調査するようになったという。

椎橋家と八杉神社

1829年(文政12年)に設立された八王子神社が移設され、八王子大権現神社になった後、杉山神社と合併し、1951年(昭和26年)に「八杉神社」として社名が統一された。八王子大権現神社は、地域の名主である椎橋本家の椎橋岡右衛門が1841年(天保12年)に設立。それ以降、神額等に椎橋家の名前が記されるように。椎橋本家・分家は八杉神社と深く関わってきたが、戦争や地域が無医村で5歳になるまでに命を落とす子どもが多かったことから、地域医療に専念した。

村上さんは「神額等を後世の氏子のために残し、地域医療に志向した椎橋家に敬意を感じる。世界情勢が不安定な現在だからこそ、過去との対話で得た教えを未来につなげていく」と話した。同研究会は今後、地域の他の寺社等の研究も進めていく。

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