注文住宅で「玄関の間取り」に関して後悔した事例6つ。その対策はどうすべきか住宅プロが解説

【グラフつき】住宅に対する不満率はいくら?写真で「実際の後悔ポイント」をさぐる

国土交通省が5年に一度実施している住生活総合調査では、現在最新年度分の集計中です。

直近の調査結果によると、住宅に対して不満を感じている方の割合の合計は23.1%(多少不満20.1%、非常に不満3.0%)にも達しています。

【写真1枚目/全3枚】住宅に対する不満率はいくら?2枚目からの写真で「実際の後悔ポイント」をさぐる

数千万円もの費用をかけて取得したマイホームで2割を超える方が不満を抱えているのは決して好ましいことではありません。

なかでも間取りに関して不満を感じている方は決して少なくないのではないでしょうか。

特に玄関は人の出入りが多く、昔から「玄関は家の顔」といわれるように住まいの印象を決定するほど重要な役割を担っています。

そこで本記事では玄関の間取りに関して後悔した事例を紹介すると共に、最後にこの事例からわかる玄関をプランニングするにあたっての注意点を解説したいと思います。

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玄関の後悔1. 玄関前に洗面所とトイレがある

玄関の後悔:玄関とトイレが近い

「玄関前に洗面所とトイレがあるため、来客時に水の音がしてしまう可能性があって不満です」(東京都在住 30歳代)

音や臭いを避けるために、トイレや洗面所はリビングや寝室から離れた場所に設置されることが少なくありません。

そのため、玄関の近くにトイレや洗面所がある間取りをたびたび目にしますが、誰かが玄関でお客様と立ち話をしていると、ほかの家族がトイレや洗面所を利用しにくくなってしまいがちです。

玄関のプランニングでは、このようなデメリットについても事前によく検討しておく必要があります。

玄関の後悔2. 突然の来客があっても玄関内で立ち話ができない

「玄関が狭いので、突然の来客があっても玄関内で立ち話ができず、いつも外で話しています」(静岡県 30歳代)

玄関が狭いと、急な来客があった時に玄関内で立ち話ができないために、つい外で話すことが増えてしまいます。

そのほか、靴やベビーカー、傘などといった玄関に置く荷物が収納できなくなってしまうので、非常に窮屈で雑然とした印象になってしまいます。

玄関の後悔3. プライバシーに配慮する工夫をすれば良かった

「玄関横に浴室があるので来客があると浴室に入りにくく、もう少しプライバシーに配慮する工夫をすれば良かったと後悔しています」(静岡県 年齢不詳)

家全体の間取りによっては、玄関から室内の様子が丸見えになってしまうことがあります。

ドアを開け放していると。玄関横に浴室があると来客時に浴室に出入りする姿を見られてしまって気まずくなることもあるでしょう。

玄関の後悔4. 玄関の入口に段差がある

「玄関の入口に段差があるので、将来親と同居したり自分たちが高齢になったりすることを考えてスロープを付けておけば良かったです」(埼玉県 40歳代)

建築基準法第22条において、最下階の居室の床が木造である場合には、床の高さは直下の地面から床の上面まで45cm以上とすることとなっています。(ただし床下をコンクリート等で覆った場合等の例外あり)

そのため、玄関の入口には地面との段差が生じてしまうことが一般的です。

しかし将来の使い勝手を考えると、敷地に余裕があればスロープを設置しておくと安心でしょう。

玄関の後悔5. 玄関近くに浴室がない

「購入時には特に気にならなかったが、玄関近くに浴室がないためペットを飼うようになって散歩から帰ってもすぐに足を洗えないことが不便です」(和歌山県 50歳代)

玄関近くに浴室があると、ペットの散歩帰りに足洗いに利用したり、子供が外で泥遊びや激しい運動をした際にすぐにシャワーを浴びることができたりするメリットがあります。

しかし前述したようなデメリットもあるので、犬を室内で飼っている場合には散歩帰りに足を洗えるように、庭の玄関近くに足洗い場を設置しておくという方法もあります。

玄関の後悔6. 玄関と子供部屋が近い

「玄関と子供部屋が近いので、子供が帰宅後にすぐに部屋にこもってしまって家族の会話が減ってしまった」(埼玉県 40歳代)

玄関近くに子供部屋を設置すると、どうしても子供と家族とのコミュニケーションが不足してしまう原因になってしまいがちです。

したがって、子供部屋はできるだけ家族とのコミュニケーションが密になる場所に配置することをお奨めします。

玄関のプランニングを行う上での注意点

玄関をプランニングする際には前述した後悔事例を参考に、以下の点に注意することが大切です。

玄関の位置

玄関をレイアウトする際には、トイレや洗面所、浴室、各居室までの動線が重要なポイントになります。

来客がそれほど多くはなく、帰宅後にすぐに手を洗ってからリビングに行く習慣があるのであれば、玄関ホールと洗面所や浴室、トイレが面していても必ずしも良くないとはいえません。

各家庭の生活スタイルに合わせて配置計画を行うと良いでしょう。

玄関の大きさ

玄関の大きさを考える上では、家の大きさや家族の人数を考慮した上で最適な広さを確保することが大切です。

30坪前後の住宅であれば最低でも2畳(1坪)程度は必要で、被介護者や車椅子の利用者がいる場合には4.5畳程度が理想といえます。

またベビーカーや子供の遊び道具、ゴルフバック、キャンプ用品といった収納するものの量を考慮して、余裕をもった収納スペースを玄関内に確保できるようにしましょう。

玄関までのアプローチ

家族に高齢の方がいたり、老後も安心して暮らせるようにしたかったりするのであれば、玄関までのアプローチにスロープを設置しておくと良いでしょう。

また併せて手摺も設置しておくと安心です。

さらにスロープはベビーカーや自転車などを玄関内に入れたい時にも役に立ちます。

まとめにかえて

玄関は訪問してきたお客様が最初に目にする場所なので、家の印象を左右する場所であるといえます。

さらに玄関は、住まいの中ではリビングと同じように家族全員が利用する機会が多いので、自分たちが帰宅して最初に何をするのか、玄関にはどんなものを収納するのか等を考えて、収納スペースや各部屋への動線を考えることが大切です。

また玄関は実際に住んでみると不満が生じやすい場所でもあるので、適切な広さやレイアウト等を十分に検討した上で、プランニングを行うことが必要になります。

参考資料

  • 国土交通省「平成30年住生活総合調査結果」

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