【皐月賞/全頭診断】馬券妙味は「2.1.0.0」の想定10人気以下 牝馬レガレイラの評価は

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今週は中山競馬場で、第84回皐月賞(GI、芝2000m)が行われる。確たる中心視不在の3歳牡馬クラシック戦線。混戦ムードを断ち切る伏兵台頭の可能性にも警戒したいところだ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。

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■皐月賞2024 出走予定馬全頭診断

・1枠1番 サンライズジパング

鮮やかな末脚で制した前走若駒S。強い内容だったが本来であれば使う予定だった弥生賞が“前走”であった可能性が高く、ローテーションが狂った事実は見逃せない。これまでの馬券内は時計のかかる馬場とダート戦に限定。1分58秒台以内の高速馬場もあり得る本レースの傾向から、不安が先走ってしまう1頭だ。

・1枠2番 メイショウタバル

芝1800mで連勝中の近走。後続に6馬身差圧勝のパフォーマンスは圧巻だったが、その日行われた芝5レース中3レースが逃げ切り勝ちと、極端に先行有利なトラックバイアスも味方した印象を受ける。タフな冬の芝に道悪と、近走は特殊な馬場コンディション続き。好天で高速馬場も考えられる週末中山では印を打っても押さえ程度が妥当か。

・2枠3番 エコロヴァルツ

この馬で強調したいのは夏競馬の2戦。いずれも右回りかつ小回りコースだったが、4角3番手以内から後続を寄せ付けないパフォーマンスを披露した。前走共同通信杯は超スローの上がり勝負で折り合いを欠いており参考外。【2.1.0.0】の右回りなら何らかの印は必要か。

・2枠4番 シリウスコルト

デビューから好走→凡走→好走のリズムを続ける馬。直線一気や逃げ粘りなど自在脚質でもあり、今後も人気薄激走を提供してくれるタイプと言えそうだ。とはいえ前走弥生賞は勝ち馬と0秒4差、上がり3F最速の脚で突っ込んできた4着馬とはタイム差なし。内容としては強調できるものとは言えず、苦戦は避けられないか。

・3枠5番 ミスタージーティー

前走若葉Sは終始ロスなく立ち回る完璧なレース運び。これまで欠けていた機動力を発揮した点は評価できるが、当時の2.3着馬は重賞で完敗を喫しておりレースレベルに疑問が残る一戦だった。心身ともに本格化を迎えるのは今年の秋以降だと思っている馬。枠の利でどこまで、といったところか。

・3枠6番 アレグロブリランテ

前走スプリングSは勝ったシックスペンスの強さだけが際立った一戦。とはいえ強烈な向かい風をダイレクトに受けつつ2着に粘ったこの馬も一定の評価を与えられるだろう。サンデーレーシング所属馬はアルアインやジオグリフ、ダンビュライトなど人気盲点での激走多数。ロスなく運べれば面白い。

・4枠7番 ルカランフィースト

一度使われた芝2000mは13着と惨敗。ここは厳しい戦いを強いられそうだ。

・4枠8番 ジャンタルマンタル

昨年の3連勝はいずれも好位のインから立ち回っての勝利。同馬の勝ちパターンがはっきりしていると捉えたとき、直線で外に進路を選択した前走共同通信杯は負けてなお強しのレースと言えるだろう。好天予報の週末中山は高速馬場の可能性があり、好時計決着の皐月賞はダイワメジャー、ロゴタイプ、ペルシアンナイトなどのちのマイルGI勝ち馬の好走多数。この馬向きの馬場想定を考えると中心視も考えたいところだ。

・5枠9番 アーバンシック

前走京成杯は【12-11-8-10】の道中通過順。何か不利があったのか……と思ったがそういったことはなく、小回りコースのペースアップに対応しきれなかった印象を受けた。適性は間違いなく東京向き。とはいえ皐月賞と好相性の騎手かつ終いの切れ味は本物で、印は必要だろう。

・5枠10番 レガレイラ

紅一点で臨む皐月賞の舞台。前例が少ないだけになんとも言えないが、洋芝で快勝の新馬戦、瞬発力勝負で切れ負けのアイビーSを経て制したホープフルSを見るより、現状は瞬発力勝負よりタフなレース質が合っている印象だ。過去10年の皐月賞において、前走GI勝ち馬の成績は【2.1.0.1】。早々に決まった直行ローテでもあり、軽くは扱えない。

・6枠11番 ホウオウプロサンゲ

逃げの手に出た前走は1000m通過61秒0のスローペース。展開面での利があった点は否めず、淀みなく流れた京都2歳Sで馬券外の結果から今回は厳しい戦いが予想される。

・6枠12番 コスモキュランダ

中山芝2000mは【1.2.0.1】と経験値に秀でた馬。先行抜け出しや直線一気、マクリなどその戦法もバラエティに富んでいる。舞台適性の高さは魅力も、昨年秋からコンスタントに使われ続けておりガス欠の心配は否定できない。賞金面に余裕がある馬が得る上積みとの比較で分が悪く、中心に据えるには躊躇してしまう。

・7枠13番 ジャスティンミラノ

過去10年において、無傷で共同通信杯を制した馬はリアルスティール、エフフォーリア、ダノンキングリー、ダノンベルーガとGI好走馬がズラリ。それに該当するのがこの馬だが、600m通過37秒3、1000m通過62秒7の超スローをどこまで評価すれば良いのか判断に迷うところだ。加えて前走はスタートで後手を踏んだものの、スローゆえ道中2番手への押し上げが成功した一戦。ポテンシャルの高さとローテの相性からノーマークにはできないものの、馬券軸より相手のゾーンに据えるのがベターか。

・7枠14番 シンエンペラー

東京、京都、中山と条件不問で連対率100%を誇る馬。その安定感には目を見張るものがあるが、3-4コーナー付近で激しく手が動くシーンが目立つように本質的には小回りが合っているとは思えない。個人的には東京でこそ狙いたいタイプ。ここは評価を下げ、次走想定される日本ダービーで大きく評価を上げる選択肢も考えたい1頭だ。

・7枠15番 サンライズアース

思い切ったマクリ差しで押し切った前走すみれS。あの手の戦法はM.デムーロがよくやるが、少頭数かつ道中でいったんペースが落ち着いた箇所があったことがプラスに働いた印象だ。翻って、中山芝2000mの皐月賞は終始緩みのないレース傾向。当時と状況が異なる点は頭に入れておきたい。

・8枠16番 ダノンデサイル

前走京成杯の勝ち時計2分0秒5は翌週の3歳未勝利戦とわずか0秒2差。当時負かした馬にのちの勝ち馬はおらず、戦ってきた相手の比較から苦戦は免れられないか。

・8枠17番 ビザンチンドリーム

過去2戦はいずれも上がり3F最速での勝利と、世代屈指の破壊力を秘める馬。一定の小回り適性も兼ね備えているが、道中通過順が常に後方である事実もまた注視しなければならないだろう。高速馬場の年の皐月賞は好位のインを器用に立ち回れるマイラータイプの天下。週末の好天予報でその可能性が浮上しているとなれば、大きく評価を上げるには至らない。

・8枠18番 ウォーターリヒト

5戦連続馬券内で臨んだ前走スプリングS。結果は9着と、関東遠征かつ重賞のメンバー相手における急坂適性にぶつかってしまった感がある。平坦替わりが見直すタイミングとなりそうだ。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年4月11日 18:02公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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