広島出身・鈴木三重吉の童話集 広島市の図書館と高校生によって生まれ変わる

広島出身の作家・鈴木三重吉は、数々の名作が掲載された児童雑誌「赤い鳥」の創刊者として知られています。その鈴木三重吉の童話集が、広島市の図書館と高校生の手によって生まれ変わりました。

ことし3月、広島市立中央図書館に集まっていたのは基町高校創造表現コースの生徒たちです。広島市出身の作家・鈴木三重吉の童話集の制作が大詰めを迎えていました。

■生徒たち

「自分が描きたい絵を描くだけじゃ依頼にこたえられないかなって。何か変えたほうが絶対面白いよね」

1918年に鈴木三重吉が創刊した児童雑誌「赤い鳥」。

大正から昭和にかけて、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」や新美南吉の「ごんぎつね」など、数々の名作を送り出してきました。

しかし、読書離れが進み、作品を知る若者は多くありません。そこで図書館は2023年、新たな童話集の制作を開始。高校生に挿絵を依頼しました。

■広島市立中央図書館 石田浩子 学芸員

「どうやったら届くかなと思ったときに、高校生が描いた絵であれば同じ世代の方に届きやすいというか響くのではないか」

生徒たちは学芸員から講義を受け、物語の背景を研究。童話集に掲載する13作品それぞれの扉絵などを約9か月かけてつくりあげました。

「赤い鳥」創刊から100年あまりを経て誕生した童話集。表紙は創刊号の馬に乗る少女を現代風にアレンジし、電車に乗るセーラー服姿の高校生を描きました。

■基町高校2年生 木原結愛さん

「毎日忙しくて読書する時間がとれない中高生も多い。日常の一部に読書する時間がもっと増えたらいいなと思って。この表紙だったら読書苦手だけど私でも読めるかもしれない、読んでみようと思ってほしい」

高校生の手によって新しく彩られた童話集は、広島市立の各図書館や高校などで手に取ることができます。

(2024年4月11日放送)

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