“大谷ロス”にあえぐエンゼルス、ホームランの“新儀式”お披露目するも続く「なおエ」の状況

ホームランを放ったトラウト(写真・AP/アフロ)

エンゼルスに新たな“ホームラン・セレブレーション”(ホームランを祝う儀式)が誕生した。

2024年4月10日レイズ戦の初回、主砲のトラウトが両リーグトップタイとなる先制6号2ランを放った。大谷翔平が所属していた昨年まではホームランを放った選手がベンチに戻ると、兜を被っての“兜セレブレーション”が定番だったが、今季は封印。それに代わって登場したのが、ヘルメットの上から光る輪を被せる儀式だ。

これはチームロゴである「A」の文字に輪っかをかけた“天使の輪”を意識してのことだろう。ただし、新儀式のお披露目、しかもトラウトの一発ということでノッていく要素は満載だったが、昨季までと同様、試合は敗北。日本では大谷が打ってもチームが勝てない現状を「なおエ」と揶揄してきたが、状況は変わらないようだ。

それにしてもエンゼルスの投打の歯車は噛み合わない。本誌でも何度も指摘してきたが、投手陣の駒不足は深刻。そのため、ア・リーグ西地区で防御率は唯一の5点台と苦しんでいる。敗戦では大量失点になることが多い。

攻撃に関しても同様。トラウトは3試合連続となる第6号を放ったが、今季1号から5号まではすべてソロホームラン。しかも、昨季の最後の5本塁打もソロだった。

2年越しの10連続ソロホームランは、なにを意味するのか。トラウトがランナーありの打席での勝負弱さを指摘する声もなくはないが、それよりも、やはり3番トラウトの前を打つ打者の出塁不足が関係しているのだろう。

今季、ここまで1番に起用されることが多いレンドンは10試合で打率.150、出塁率は.227.2番のシャヌエルは打率は1割にも満たない.065、出塁率も.268である。これではトラウトがソロホームランばかりということも分かるし、だからこそ大量得点につながらない。

じつは大谷も“ソロホームラン症候群”に悩んでいた時期があった。2021年4月の第2号から第8号まで、すべてソロ。この年大谷は46本塁打を放っているが、これだけの本数を打ちながら打点は100とやや少なめ。やはり前を打つ打者の出塁不足が関係していた。

今季のエンゼルスもトラウトの前の打者の出塁率を改善しない限り、「なおエ」は続くだろう。これではせっかくの“天使の輪”も空砲儀式になりかねない。

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