群馬県内に300人 難病知って 国の特定疾患「サルコイドーシス」 患者ら「友の会」設立へ

県社会福祉総合センターで開かれたサルコイドーシスの勉強会

 国の特定疾患に指定され、失明や心不全につながる難病「サルコイドーシス」の悩みを分かち合うとともに、病気への理解を深めてもらおうと、群馬県内の患者らが「友の会」設立に向けて動き出している。他団体との連携を考慮し、県難病団体連絡協議会の加盟団体としての設立を目指す。呼びかけ人で、10年前に発症した前橋市の女性(72)は「病気自体を知らない人がほとんど。分からなければ、手の差し伸べようもないので、知ってもらうだけでも意味がある」と訴える。

 サルコイドーシスは、臓器に肉芽腫ができる原因不明の疾患で、目や肺、心臓など幅広い部位で表れる。部位によっては不整脈や心不全、視力の低下や失明、腸閉塞(へいそく)にもつながる可能性がある。県内には現在、300人ほどの患者がいるとされている。

 県難病団体連絡協議会には現在、難病患者の連絡会10団体が加盟している。このうち、特定の連絡会が県内にない難病の患者が参加する「個人参加難病患者の会 つくしの会」が中心となり、サルコイドーシスの友の会設立に向けて動き出している。

 同協議会によると、「つくしの会」から派生した友の会としては、2005年に発足した「県脊柱靱帯(じんたい)骨化症友の会」がある。年に1回ほどしか集まる機会のない「つくしの会」に比べて、友の会を組織化すると、参加者同士が情報交換をする機会が増え、全国組織との連携や自治体への訴えなどもスムーズになるという。

 患者同士のネットワークづくりなどにつなげようと、3月下旬、病気への理解を深める勉強会(つくしの会主催)が前橋市の県社会福祉総合センターで初めて開かれた。15年間にわたり「心臓サルコイドーシス」の患者を診てきた前橋赤十字病院(同市)心臓血管内科の峯岸美智子副部長が講師を担い、「多くの患者を診断していろいろなことが分かれば、たくさんの人が恩恵を受ける」などと説明した。

 5月12日には患者同士の交流会を開く予定。友の会設立を呼びかけた女性は目と肺にサルコイドーシスを抱え、現在は視力の低下が進む。今後へ向け「地道に連絡を取れる患者さんを増やしていく。全身の病気なので部位ごとに経験を共有し、悩んでいる人の道がだんだんと開けていくようになるといい」と期待を込めた。

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