「海がないのに漁火?」岡山市で観測した珍しい「漁火光柱」ヤフコメに”有力説”が…その正体は?

今年3月、岡山市中区の山陽学園大学で「漁火光柱(いさりびこうちゅう)」という珍しい現象が観測されたことが分かりました。
(【動画】提供:山陽学園大学…動画は見えやすくなるよう処理しています)
(【図①】岡山市で確認された「漁火光柱」)

「漁火光柱」とは、日本海側の地域で、冬に北の空に観測されることがある現象で、イカ釣り漁船などが発する光が大気中の氷粒子に反射することで、夜空に「光柱」として観測されることからそう呼ばれています。(【図②】「漁火光柱」が発生する様子)

山陽学園大学地域マネジメント学部の米田瑞生さんの研究室で、流星を観測するための高感度カメラを開発し、今年3月20日午後9時20分ごろに試験観測を行っていたところ、北の空に偶然「漁火光柱」が確認されたといいます。

この「漁火光柱」の光源までの距離や位置を推定したところ、岡山市から北西に約50kmの吉備中央町周辺で発せられた光であることが分かりました。

吉備中央町といえば【画像③】のような「吉備高原」と呼ばれるなだらかな丘陵地帯で、「岡山県のへそ」とも呼ばれる内陸部。。。漁火とは無縁の地です。米田さんは、この日観測された「漁火光柱」の光源は吉備中央町周辺の「町灯り」だと推測しています。

そもそも「漁火光柱」は、「光源と観測点の間の空に氷粒子」があり、「風が弱いこと」など様々な条件が整わなければ見られない希少な現象です。3月20日の岡山市は、寒気の影響で真冬並みに冷え込み風は強かったのですが、一時的に風が弱まったタイミングで運よく観測されたのではないかということです。

米田さんは、
「岡山市のような夜空が明るく、日本海から遠い場所で観測されるのは大変珍しい。肉眼でもぼんやりと見えていた可能性が高いが、岡山の夜空は明るいので簡単には見えなかったはず」(【画像④】は「大都会」岡山市の光景)

「また、1分少々しか出現していなかったので、気がついた人は少ないかも」

と話しています。

■この記事を受けてヤフコメに「光源の正体」有力説が…

「Yahoo! ニュース」に掲載されたこの記事に、こんなコメントが投稿されました。

「幻想的なニュースだけど普通に岡山空港ANA最終便21時35分到着の誘導灯だと思う」。

観測地点から北西に約15km離れた岡山空港の誘導灯ではないかというのです。「漁火光柱」が観測された時間は、確かに最終便の到着時間と一致しています。(【画像⑤】夜の岡山空港)

米田さんに問い合わせると「私も真っ先に日本海の漁船、次に空港を疑いました。しかし、氷分子が整列して鏡面を形成するとされる高度が5~7km, 光柱が観測された高度15°、これらから推測される光源までの距離が、50kmであり、空港までの距離(約15km)、日本海までの距離(約150km)のいずれとも合致しないのです。

また、空港の誘導等はカラフルですが、光柱はそうでもなく、どうも違いそうだという結論になりました。

もし、大気中の氷粒による鏡面が、高度2~3kmに形成されたとなると、空港説も真実味を帯びてきますが、それはそれでまた珍しい現象を見たことになります。氷粒の結晶が、鏡面を作るように整列する必要がありますが、気象現象が豊かな低高度では風で乱され、なかなか整列できないのです」

という回答がありました。

いずれにせよ、空中で何が起きたか断定はできないため「真相は誰にもわからない」といったところでしょうか。

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