小田原市長選、新旧の市長が候補者討論会 人口減や街の未来図で持論訴え

新旧の市長が論戦を交わした小田原市長選立候補予定者の公開討論会=10日、おだわら市民交流センターUMECO

 小田原市長選の立候補予定者公開討論会が10日夜、小田原駅前のおだわら市民交流センターUMECOで行われた。新旧の市長2人が人口減対策や街の未来図を巡ってそれぞれの持論を展開した。

 小田原青年会議所の主催で約120人が参加。市長3期を務めた加藤憲一氏(59)と再選を目指す守屋輝彦氏(57)=立候補表明順=が登壇した。

 目指すべき都市像を巡り、加藤氏は農産物やエネルギーを含め自給自足が可能な「地域自給圏」創設を提言。市の出資で自然エネルギー促進に向けた公社を設立し、売電収入を交通空白地帯解消に充てるプランを紹介し、「地域全体が自給していくことで安心して暮らせるようになる」と強調した。守屋氏は「多くの人が住み続けたい、行ってみたいと思えるような世界があこがれる街・小田原をつくっていく」と宣言。これまで市の重点施策として進めた「若者・女性活躍」などを挙げ、「一人一人が輝き、前例のないことに挑戦できる環境を整えている街であるべきだ」と訴えた。

 市の人口は1999年の20万人をピークに2024年3月には18万6千人まで減少し、定住対策も課題となっている。加藤氏は「魅力的なまちづくりで優秀な人材を集め、文化的価値を高めることで企業の進出を促していく」と持論を述べ、守屋氏は移住促進プロモーションから4年で約2千人の社会増を達成した実績から「小田原の潜在力が発揮できた」と振り返った。

 子育て教育分野では加藤氏は「学力だけでなく主権者教育など人間力を育てる教育が必要」として実際に予算の使い道を子どもたちが決める「小学生議会」や、地域社会と密着して地域課題を考える教育プログラムのアイデアを披露した。守屋氏は子育て世代の経済的負担軽減策として小児医療費助成拡充や産後ケア充実に取り組んでいるとし、「小田原で子どもを生み育てたいという子育て世帯の教育移住につなげたい」との戦略を描いた。

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