「八甲田は天国だ」 91歳冒険家・三浦雄一郎さん(青森市出身)、「故郷」で春スキー

8年ぶりに「故郷」八甲田での春スキーを楽しむ三浦さん=11日午後
念願の八甲田での春スキーを滑り終え、笑顔を見せる三浦さん=11日午後
銅像ルート到着後、三浦さん(前列中央)を囲んで記念撮影に納まる家族や地元ガイド=11日午後、銅像茶屋付近

 エベレストに3度登頂した91歳の冒険家・三浦雄一郎さん(青森市出身)が11日、「生まれ故郷」とする八甲田で春スキーを滑った。父・敬三さん(故人)からスキーを教わった八甲田で滑るのは8年ぶり。2020年に大病を患って下半身にしびれが残るが、次男の豪太さん(54)や地元ガイドのサポートを受けながら、雪解けが進み春の息吹が感じられる八甲田の大斜面を滑降。「八甲田は春スキー、山岳スキーの天国だ」と満足そうに語った。

 「次の目標は八甲田で滑ること」。昨年12月に雄一郎さんが発した言葉に、子どもや孫ら家族が10人ほどが賛同。地元ガイドを加え総勢15人ほどで、敬三さんが開拓した「銅像ルート」(3.6キロ)に挑んだ。

 午前10時、天候は晴れ。一行はロープウエー山頂公園駅に到着。「皆さんの力を借りて頑張りたい」とあいさつした雄一郎さんは田茂萢岳(1324メートル)から前岳(1251メートル)の中腹を回り、銅像茶屋へと向かった。

 自力で滑るときは、豪太さんが後方からロープで引っ張って体を支え、いすにスキー板が付いた「デュアルスキー」も使用した。田茂萢岳の急斜面も、ロープ支援を受けながら自身の脚で滑り降りた。

 昼休憩時にはガイドが作ったラーメンを食べながら「昔ここで撮影した。懐かしい景色」などと山並みを見渡し、「勝手知ったる」という八甲田を満喫。何度も休みながら約5時間半かけて銅像茶屋に到着した。

 20年に「特発性頸髄(けいずい)硬膜外血腫」を発症。寝たきり状態から自力歩行できるようになったことを医師に「奇跡」と言わせたほどだ。滑り終えた雄一郎さんは「好奇心とチャレンジ精神が原動力。気分爽快、八甲田は最高でした」と話した。

 雄一郎さんは70歳、75歳、80歳で世界最高峰・エベレストに登頂。大病発症後、23年に大雪山旭岳中腹からスキー滑走。同年秋には日本最高峰・富士山に車いすで登頂した。

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