「一般社会じゃ通用しない」STARTOが「船出イベント」開催 ファンクラブ運営、知財…説明責任果たさぬ姿勢に広がる失望

「STARTO ENTERTAINMENT」本格始動記念公演を終え、歓声に応える出演者ら(写真・時事通信)

SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)に所属していたタレントらが移籍した新会社、STARTO ENTERTAINMENTが、4月10日より本格始動した。同日、その船出を記念したイベント「WE ARE!Let’s get the party STARTO!!」を東京ドームで開催、13組72人のタレントが出演し、ファンへの感謝を伝えた。

ジャニーズ事務所は2023年10月、創業者の故・ジャニー喜多川氏の性加害問題を受けて社名をSMILE-UP.に変更。11月から被害者補償を開始し、補償が終わり次第、廃業、同社に所属していたタレントや社員は、希望者全員がSTARTO ENTERTAINMENTに移籍し、エージェント契約かマネジメント契約するかを選択すると発表していた。

それにともない4月9日、SMILE-UP.が運営するファンクラブ組織「FAMILY CLUB(ファミリークラブ)」が会員に向けて、「会員規約・プライバシーポリシーの変更および、FAMILY CLUB Official Site終了」を告知した。ファンクラブが消滅するのかとファンは騒然としたが、実際は、いままで「ファミリークラブ」のサイトで公開されていたアーティスト情報が、10日に新設されたSTARTO ENTERTAINMENT社のサイトに移行されるということだった。

移行されたのはアーティスト情報だけで、各グループ、タレントのファンクラブは現在もSMILE-UP.の運営であることが、改定されたファミリークラブの会員規約に記載されている。いわば、所属タレントが誰もいないのに、ファンクラブを運営しているという不思議な状況になっている。

そんななか、おこなわれたこのイベントに、ネットニュースのコメント欄は

《ここから上昇気流まで茨の道が続くけれども…、誠心誠意をもって活動していただければと思います。》

《リスタートする時期としては良いと思います。特別なファンではないですが、残る決断をした人たちの努力は見届けたいと思います》

《色々批判もあるけど少なくともタレントには非がなくあくまでも加害者は亡くなってる現実を考えて行くとタレントには仕事に専念できる環境にしてあげることは大事だと思う。》

と、少なからず応援する声が寄せられている。

その一方で

《3月31日付けでファンクラブ終了して、スタートするのがスジしゃないのかな。いったん返金して。ファンはタレントに不幸になって欲しいわけじゃない。ちゃんと新しい会社、新規約に納得できないなら、解約させる仕組みはあるべきだし、ズルズルズルズル引き伸ばして説明責任も果たさないなんてフェアな契約では無いし、一般社会じゃ通用しない。》

《まるで禊が済んだかのようにこのようなイベントを開くことに違和感しかない。被害者の人たちはどのような気持ちだろうか…SU社もSE社もこの問題をまったく軽く考えているとしか思えない。》

など、再スタートが拙速なのではないか、という意見も多く見られた。

「ジャニーズ事務所社長だった藤島ジュリー景子氏は、新会社に関わらないと明らかにしました。その結果、2023年12月に、新会社STARTO ENTERTAINMENTの社長に就任したのがコンサルタント会社の社長である福田淳氏です。タレントの井ノ原快彦氏を除く会社幹部は、SMILE-UP.とは関係のない法律・財務のプロでそろえたそうです。

注目を集めているのが、『ファミリークラブ』の運営費です。芸能事務所にとって、ファンクラブは大きな収入源ですから。10日に改定されたファンクラブの規約では、当面は新会社ではなく旧会社が運営するということです。

また、知的財産についても新会社の社長である福田氏は、2023年12月の取材で『デューデリジェンス(資産査定)にも時間がかかる』と話しており、進んでいるのかも分からない状況です。

収入や権利が不透明なまま、見切り発車するのでは、と懸念が抱かれても仕方ありません」(芸能記者)

おりしも時を同じくして、一連の騒動のきっかけを作った英BBCが、第2弾としてSMILE-UP.の東山紀之社長のインタビューを報じた。まだ何も終わっていない――それが世間の、正直な感想だろう。

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