ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

[11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は11日の理事会で、主要政策金利を予想通り据え置いた上で、近く利下げに踏み切る可能性を示唆した。

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<インフレの道筋は一様でない>

インフレの道筋は一様でない。ただ、2025年半ばには目標が達成される。今から25年半ばまでの間にインフレ率は目標とする2%に戻るが、その途中で上昇することもあれば、低下することもある。その多くは23年中にエネルギー価格が2回大きく変動したことによるベース効果に関係している。

全体的なデータが重要になる。上昇と低下は必ずある。直線的ではない。

<全ての部門でインフレ率が2%に達するまで待たず>

必要な決定を下す際、全ての部門のインフレ率が2%に戻るまで待つつもりはない。

<米国とユーロ圏の物価情勢>

米国とユーロ圏の物価情勢が同一だという仮定に基づいて結論を導き出すことはできない。同一ではない。米国とユーロ圏の経済は異なる。

<数人が異見示すも合意に達した>

実を言うと、4月に入手した一部データに基づき、数人の理事が(インフレが目標回帰しつつつあると)十分に自信を持っていた。ただ、それはほんの数人だった。その数人は、6月にさらに多くのデータを入手し、確信を強める必要があるとする圧倒的大多数の見解に賛同した。

<バランスシートの縮小>

ECBのバランスシートの規模はすでにかなり縮小しており、そのプロセスは進行中だ。これ以上の議論はない。

<事前に約束せず>

ECBは特定の金利経路を事前に約束しているわけではない。

<今後のデータ>

われわれはデータに依存している。ユーロ圏全体の全情報、全指標、そして予測結果を検討することになるだろう。

<成長下振れリスク>

経済成長に対するリスクは引き続き下振れ傾向にある。金融政策の効果が予想以上に強まれば、成長率は低下する可能性がある。

<価格圧力の減退>

基調的なインフレ指標の大半は2月にさらに低下し、物価上昇圧力が徐々に弱まっているという状況を裏付けた。

<インフレ見通し>

インフレは今後数カ月間は現在の水準付近で推移し、来年には目標水準まで低下すると予想される。

<労働市場について>

労働市場の逼迫は徐々に緩和し続けている。

<段階的な景気回復>

調査によると、サービス業主導で今年を通じて緩やかな回復が見込まれる。

<弱い経済>

第1・四半期の経済は依然として弱い。サービスへの支出は堅調だが、製造業は需要の低迷に直面している。

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