赤楚衛二の鋭い眼光、錦戸亮のラスボス感 『Re:リベンジ』初回から驚きの展開に

人の心の奥底には、光と影が交錯している。欲望と野心、愛と憎しみ。私たちは、時にそれらに翻弄され、時にそれらを燃料に生きている。『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)は、そんな人間の本質を赤裸々に描き出す、痛快なリベンジサスペンスドラマだ。日本屈指の巨大病院「天堂記念病院」を舞台に、権力争いに翻弄される登場人物たちの運命が、ドラマチックに展開していく。

主人公の天堂海斗(赤楚衛二)は、病院理事長である父・天堂智信(光石研)との確執から、病院を離れ、新栄出版で週刊誌の記者として働いている。母が死んだ時ですら、理事長の椅子を守ることに必死になっていた父を、海斗は許せないのだった。しかし、智信が心臓発作を起こし倒れてしまったことにより、海斗は再び病院へと引き戻される。新病棟プロジェクトを任される予期せぬ展開に、海斗は「この人とも天堂家とも関係ありませんから」ときっぱり言い切ったのだった。

赤楚衛二にとって本作は、フジテレビ系連続ドラマ初主演となる。『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(2020年/フジテレビ系)で大ブレイク以降、数々のヒット作で主演を務めてきた彼が、巨大病院の闇に足を踏み入れる記者役でどのような演技を見せてくれるのか。赤楚の持ち味である真摯な眼差しと鋭い眼光が、海斗という複雑な役柄の深層にまで光を当てることだろう。

そんな中、心臓血管外科の天才医師・大友郁弥(錦戸亮)が天堂記念病院に新たに赴任してくる。まだ第1話とあって、謎に包まれた人物も多い本作。しかし、この郁弥のただならぬオーラはまさにラスボスそのものである。謎めいた雰囲気を纏い、薄く笑みを浮かべながら「よろしくお願いします」と挨拶をする郁弥の存在は、早々に病院内に新たな波紋を呼び起こす予感を漂わせた。錦戸亮は赤楚とは初共演であり、『Re:リベンジ』ではライバル役を演じることになるが、2人の化学反応から生まれる火花に期待が高まる。

「俺はあの人と関わるつもりない」と言っていた海斗だったが、恋人である朝比奈陽月(芳根京子)の「私との将来を真剣に考えてくれるなら、私は妹にも会ってほしいし、海斗のお父さんにも会わせてほしい」という言葉に頭を悩ませることに。しかし、その直後には陽月が何者かと「今までお世話になりました」と電話で会話をする怪しいカットも挟まれていた。陽月の本当の思惑が気になるとともに、本作の“信じられるキャラクターが不在”な状況にこちらも振り回される。彼女の澄んだ瞳の奥に潜む闇が、物語にどんな影響を及ぼすのか見逃せない。

そしていよいよ、容体が悪化した智信の病室で出会いを果たす海斗と郁弥。「そこまでしてしがみつきたいものなの? 権力って」と凄む海斗に、ベッドに横たわる智信は「飯は食べれてるのか?」と温かい言葉をかけるが……。その後の新聞記事の内容からも、智信の父親としての優しさは健在であり、海斗の父親への見方が歪んでいるのかもしれないと思わされた。そしてそれは、誰よりも海斗自身が感じていたことでもある。

しかし残念なことに、父親との関係を海斗が修復しようとした矢先、何者かが智信を殺害したのだった。そして、智信の葬式で、海斗自身も何者かに襲われてしまう。行方不明になった海斗の代わりにプロジェクトの担当に推薦されたのは、郁弥だった。海斗の失踪と郁弥の抜擢。この2つの出来事が、物語をさらに加速させていく。

光と陰が交錯する病院という舞台で、人間の本質に迫る『Re:リベンジ』は、完全オリジナル作品だ。脚本は伊東忍、中村允俊、奥村徹也の3人のチームによって紡がれており、中でも、フジテレビヤングシナリオ大賞で大賞を受賞した脚本家・中村允俊の存在は注目に値する。原作ものではない分、結末が明らかになっていないことから、今後は視聴者の間での考察も楽しみなところ。愛する人を守るため、あるいは自らの野望を果たすために、登場人物たちは何を犠牲にするのだろうか。欲望に翻弄される彼らの心の奥底には、光と陰が交錯している。その両面を凝視することで、このドラマの真相に近づけるのかもしれない。

本作の“リベンジ”が果たされる時、我々が目の当たりにする真実とは。復讐に駆られる者、復讐される者、そして復讐に巻き込まれる者……。映し出されるすべてから目を離せない、息を呑むようなドラマの中で、海斗はどのように変貌を遂げていくのだろうか。

(文=すなくじら)

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