蒸留酒「ジン」の国内市場拡大 神奈川の観光地でも人気 地域素材で差別化、ネットで即日完売の店も

「QUAYS pacific grill」でナンバー8を作る蒸留責任者深水稔大さん=横浜市中区

 蒸留酒「ジン」の市場が拡大している。特に独自素材を生かした「クラフトジン」が人気で、神奈川県内でも観光地での展開を老舗酒造会社が手がけるなど、注目を集めている。長期熟成の必要がなく、素材もアレンジが可能で、新規に製造する企業も増えている。

 横浜・みなとみらい21(MM21)の複合施設「横浜ハンマーヘッド」(横浜市中区)にあるHUGE(東京都)が運営するレストラン「QUAYS pacific grill」。2階の約11平方メートルの小さなスペースにあるジン蒸留所では、蒸留責任者の深水稔大さんがクラフトジン「NUMBER EIGHT(ナンバー8)」の製造に取りかかっていた。「ジンを目的に来店されるお客さまも多い。目玉商品のひとつ」と話す。

 ハンマーヘッドが立地する新港ふ頭8号岸壁から名付けられたナンバー8は『レストラン屋が手がけるジン』として2019年から製造を始めた。酒かすを蒸留して作った焼酎をベースに、県産ミカンなど計8種類のボタニカル(植物)素材を使用。近年では“海の上にある蒸留所”というブランド力に加え、料理と相性が良く、飲みやすさを追求した味わいと評価は高い。

 通常はレストランで提供するが、毎月8日にはインターネット上でも販売。毎回、即日完売という人気ぶりだ。同商品の購入を目的に札幌市から来た男子大学生は、「ネットでなかなか買えなかった。札幌に戻って早く友達と飲みたい」と笑顔だった。

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