【広島】高卒3年目・田村俊介が不振脱出のV打! 新井監督の〝こっそり指導〟が実を結ぶ

9回、適時三塁打を放った広島・田村

貧打にあえぎながらも、昨季日本一の猛虎相手に連勝をもぎ取った。広島は11日の阪神戦(甲子園)に1―0で勝利し、2カードぶりのカード勝ち越しを決めた。

両軍無得点で迎えた9回二死二塁。ここまで打率1割台と苦しんでいた3年目・田村俊介外野手(20)が均衡を破る適時三塁打を放ち、値千金のひと振りでチームに勝利を呼び込んだ。プロ入り後初のヒーローとなった若武者は「絶対、自分が決めてやるんだという気持ちで打席に入りました」と歓喜した。

新井貴浩監督(47)は試合前の田村が不振脱出を図ろうと、敵地の室内練習場でフリー打撃とは別に打ち込みに励んでいたことを明かし「それが良かった」ともコメント。阪神との初戦の時点でチームは36イニング連続無得点。想定外の貧打に指揮官は腐心しながらもひそかに動いていた。それがスランプにあえぐ面々への直接指導だ。

とはいえ悩める選手の胸中に寄り添って最大限に配慮するため、あえて大っぴらに公開しないのが〝新井流〟。ファンやメディアの目に触れる試合前のグラウンド上ではただじっと練習を見守るだけに徹していたが、その前に実は見えないところでしっかりと重要な手ほどきを行っていた。

この日、決勝打を放った田村だけではない。10日の2戦目試合前に新井監督は、打率1割7分9厘で低空飛行中の坂倉将吾捕手(25)とも向き合った。ここ2試合は欠場となった坂倉も指揮官から直々に好調時との違いなど、事細かな助言をもらったことで「とてもいい時間になりました。早く期待に応えられるようにしっかりやりたい」と巻き返しに燃えている。

11試合を終え、総得点はリーグ最低の24。得点力不足は解消できていないだけに、新井監督がこっそりとナインの背中を押しながらアシストする日々はまだ続きそうだ。

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