元日本代表の巻誠一郎さん(43) サッカー12歳以下国際大会を熊本で初開催 「世界レベル、肌で感じて」 【ニュースインタビュー】

サッカーの12歳以下の国際大会を熊本県内で初開催した元日本代表の巻誠一郎さん=5日、大津町運動公園

 サッカーの12歳以下の国際大会「U12九州国際フットボールドリームチャレンジカップ」が5~7日、大津町運動公園などで初開催された。国内の強豪とポルトガル、中国の海外2チームと熊本県内の小学生が対戦した。実行委員長を務めた元日本代表の巻誠一郎さん(43)=合志市=に大会の目的などを聞いた。(野村拓生)

 ─大会を企画した目的を教えてください。

 「サッカーに限らずグローバル化が進む中で、世界基準を知ることと、自分と世界との差を知ることは大切。都市圏の子どもたちはそれを体感できる機会に恵まれているが、地方や熊本だと極端に少ないと感じている。世界や日本のトップレベルを実際に見て、肌で感じられる場を提供したいと企画した」

 「石川県のチームも招き、熊本地震や能登半島地震を経験した子どもたちが互いを知る機会にもしたかった」

 ─巻さんは現役時代、ロシアや中国のクラブにも所属されました。

 「私が小中学生のころは熊本や九州のチームとしか戦ったことがなかった。学生時代に海外クラブからオファーを受けたが、当時は世界の中で自分のレベルがどれほどなのか分からず、不安で挑戦ができなかった」

 「いざ海外に渡ってみると、いかに自分がちっぽけな世界の中でもがいていたのかと痛感した。知らなかったこともたくさん知ることができた。そういった経験を次の世代に伝えたい」

 ─サッカースクール「カベッサ熊本」の代表もされています。小学生世代の活動に取り組む理由は。

 「中高生になるとどうしても自分の能力や限界に目を向けて、諦める人がいる。小学生世代は純粋に目を輝かせながら夢を追いかける。夢には、願えばどんどん近づけることを感じてほしい」

 ─今後も大会を開催する計画はありますか。

 「全国の多くのチームに興味を持ってもらった。続けていきたいと思う。大会運営には協賛企業の賛同が不可欠。今回が熊本の企業に知ってもらい、協力してもらうきっかけになればいい」

 -巻さんの活動の展望を教えてください。

 「現在の活動はスタートラインに過ぎない。熊本にはロアッソ熊本という立派なJクラブがある。ただ、サッカーをはじめとして、さらに地域に根差したスポーツの在り方と形を、創出する活動をしたい」

 まき・せいいちろう 1980年、宇城市小川町出身。小川中、大津高、駒大を経て、2003年にJ1市原(現J2千葉)に加入。06年ワールドカップドイツ大会に出場するなど日本代表通算38試合で8得点を挙げた。ロシアや中国のクラブ、J2東京Vを経て、14年に熊本に加入。18年シーズンで現役を引退した。

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