「雪景色の富士山に染まっていく」はさんで染める△ふじさん 老舗が手掛ける染色キット コロナ対策資材の再利用も【しずおか産】

浜松市で創業63年を迎える「武藤染工」です。有名ブランドの洋服から浜松まつりの法被まで幅広く注文を受けています。

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<武藤染工 永田容啓さん>
「こちらは生地に柄を付けていくプリントの機械の先頭になります。真っ白な生地がいま、立ち上がって、こちらの機械の方に入っていってます。今回の場合はこの2色の色を使って生地に色を付けています」

<浜松総局 野田栞里記者>
「あの白い布が青と水色に染まる?」

<武藤染工 永田容啓さん>
「こういうふうにきれいな色と柄になって、製品として出来上がっていくわけです」

今回の「しずおか産」は、「はさんで染める△(さんかく)ふじさん」。ブルーのハンカチとピンクの手ぬぐいの2種類があります。浜松伝統の染物を30分で体験できる「染色キット」です。

<浜松総局 野田栞里記者>
「このハンカチを染めていくということですよね」

<武藤染工 中園由利子さん>
「3等分になるように折って行ってください」

まず、生地を細長く折りたたみ、三角形を作ります。

<武藤染工 中園由利子さん>
「きれいに折れば折れるほど模様もきれいに出ると思います」

正三角形に畳むのがポイントです。次に、アクリル板で生地を挟んで輪ゴムで固定します。

<武藤染工 中園由利子さん>
「さっそく染めていきましょう。染料とソーダ灰をこの中に入れてください。実は黒く見える粉がブルーの染料になります。白に見えるのは芒硝といって布に色が染まるのを助ける薬品になります。ソーダ灰は色が落ちないようにするための薬品になります」

そして、70度ほどのお湯で溶かします。

<浜松総局 野田栞里記者>
「黒と白の粉が青黒い感じに変わりましたね」

<武藤染工 中園由利子さん>
「そうしましたら、大体、90秒ぐらい混ぜてください」

染色キット「はさんで染める△ふじさん」の面白さはここからです。

<浜松総局 野田栞里記者>
「どんどん染まっていきますね。雪景色の富士山に染まっていってます」

「板締め絞り」を応用し、木の板をアクリル板にしたことで、生地が染まっていく瞬間を目で見て楽しめます。10分ほど浸した後、余分な染料を落とし、乾かせば出来上がりです。

<浜松総局 野田栞里記者>
「富士山がアサガオみたいな柄になりました。自分が染めたと思うと愛着が湧きますね」

商品化まで100回以上の試作を重ねた「はさんで染める△ふじさん」は、2023年11月、「2023グッドデザインしずおか特別賞」を受賞しました。

<武藤染工 永田容啓さん>
「昔は遠州地方、浜松を含め繊維産業も盛んだったんですけども、やはり海外への流出が止まらなくてだんだん衰退してきてしまっているのが現状です。今回のキットには技術の伝承も含めて『染色はこんなに楽しいんだよ』ということをぜひとも知っていただきたいと。ゆくゆくは我々の後を継いでいただけるような形になればなと思っています」

浜松は、豊富な水と遠州の空っ風があり、年間を通して染物に適した街です。このキットはその歴史と伝統を伝えています。生地を挟む時に使うアクリル板はコロナ対策で使われ廃棄予定だったパーテーションを再利用しています。

染色のおもしろさを子どもたちに知ってほしいと「はさんで染める△ふじさん」は「浜松科学館みらい~ら」で販売しています。ハンカチセット・手ぬぐいセット共に1980円(税込み)です。

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