社長、あんたの考え古いんだよ!平均月収「32万円」中小企業勤務・45歳のサラリーマン、不満タラタラで4割が転職を検討

日本のサラリーマンの7割は中小企業に勤務。まさに日本を支える主役です。日々、いろいろな不満を抱えて頑張っていますが、ときにその不満は会社のトップ、社長にむかうことも。みていきましょう。

物価ばかりがあがり、給与の天引き額にため息…社長、なんとかしてくださいよ

厚生労働省『毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)』によると、1人あたりの現金給与総額は上昇が続き、1.8%増の28万2,265円と26ヵ月連続でプラス。基本給に当たる所定内給与も2.2%の増加となりました。

就業形態別では「正社員などの一般労働者」は2.0%増の36万0,616円、「パートタイム」は3.1%増の10万5,268円でした。また業種別では「情報通信業」が3.9%増と上昇幅が大きく、学術研究等の3.8%増、教育・学習支援業の3.5%増と続きます。

一方で、物価を考慮した実質的な1人あたりの賃金は、減少率は1月の1.1%から拡大し、前年同月から1.3%の減少。マイナスは23ヵ月連続で、リーマン・ショック前後の2007年9月〜09年7月以来、比較可能な1991年以降の過去最長に並びました。物価上昇に対し賃金上昇が追いつかない状況が依然として続いています。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員、平均年齢43.6歳)の平均給与は月収で36.36万円、賞与も含めた年収で596.97万円。さらに日本のサラリーマンの約7割を占めるとされる、中小企業勤務のサラリーマン(平均年齢45.9歳)に限ると、月収は32.6万円、年収492.46万円。額面年収を492.万円とすると、手取りは452.43万円。額面年収の25%ほどが、税金や社会保障費が天引きされます。

【中小企業勤務のサラリーマンの給与…額面と手取り額】

額面:4,920,000円

手取り:3,773,556円

(天引き額の内訳)

所得税:232,700円

住民税:232,700円

健康保険:252,000円

厚生年金:461,160円

介護保険:45,864円

雇用保険:29,520円

給与は上がらないのに、値上げのニュースばかりだし、さらに給与の4分の1は天引きされてしまうし……踏んだり蹴ったりのサラリーマン。ため息がとまりません。「どうにかしてくれよ、日本国」と言ってみたところで何も変わらないので、怒りの矛先は勤務先の社長にむかうときも。

――社長、いいかげん、なんとかしてくださいよ!

中小企業に勤務するサラリーマン…「うちの社長」への不満

株式会社あしたのチーム『中小企業社員300人に聞いた“ウチの社長”調査』によると、「あなたが自社の社長に対して評価していないことは?」の問いに対して、最多は「後継者の育成」で52.7%。「社会や技術革新」「女性管理職登用など女性活躍への貢献」「会社のイメージアップ」と続きます。

【自社の社長に対して評価していないこと】

後継者の育成…52.7%

社会や技術革新…44.7%

女性管理職登用など女性活躍への貢献…44.0%

人材採用への影響力…43.3%

会社のイメージアップ…41.3%

会社の成長への貢献…41.0%

カリスマ性・リーダーシップ…40.0%

売上への貢献…38.7%

顧客の信頼獲得…38.7%

働きやすさの整備…36.3%

規模の小さな中小企業であれば、会社や仕事への不満が、社長への不満になりがち。そのことが原因で「転職を考えたことがあるか」の問いには、37.3%が「はい」と回答。さらに「周囲に社長への不満や不信感から退職した人がいる」と30.0%が回答しています。

よく社長への愚痴として聞かれるのが、「うちの社長は古い!」「時代に合っていない」といったもの。実際に本調査では64.4%が「社長の考えが古い」と回答しています。

*「社長について考えが古いと感じることはありますか?」の問いに対して、「よくある」「たまにある」の合計

そして「社長に対してアップデートしてほしいことは?」に対しては、最多が「労働に関する価値観・考え方」で26.3%。「社長自身の言動」「自らを客観視する力」「デジタル対応」「時代の空気を読む力」と続きます。

――休日出勤か。関心、関心

――遅くまで働いて、お前は偉いな!

そんなことを堂々といってしまう中小企業の社長。「そんな時代ではないですよ、単に人手が足りないんです」と心の中でツッコミを入れる中小勤務のサラリーマン。そんな構図が目に浮かびます。

さらに「自社について“ここが古い”と思うことは?」で最も不満が多かったのが、「給与体系」で21.7%。「人事に関する制度」「就業規則」「勤怠管理方法」「業務管理システム」と続きました。給与体系といえば、日本企業にいまなお根付く年功序列。もちろん長く安心して働けるというメリットもありますが、いまや時代遅れと感じるサラリーマンも多いようです。

社長への不満が色々とあれど、なかには不満をしっかりと伝えて、共に改善していける距離感にあるケースもあるでしょう。不満をそのままにしない、というのも、ひとつの選択肢です。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

株式会社あしたのチーム『中小企業社員300人に聞いた“ウチの社長”調査』

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