大分県内4市町で水素トラックの実証事業開始 3カ月間で利便性や課題を確認【大分県】

実証で水素を使って走る燃料電池トラック=11日、大分市豊海
実証で水素を使って走る燃料電池トラック=11日、大分市豊海

 二酸化炭素を出さない次世代エネルギーとして期待される水素の利活用に向け、産学官でつくる県エネルギー産業企業会は今月、運送の実証事業を始めた。水素を使う燃料電池トラック1台を大分、別府、杵築、日出4市町で3カ月間走らせ、利便性や課題を確かめる。脱炭素社会の到来で、企業会や県がサプライチェーン(供給網)構築を目指す一環。

 会の加盟社で、食品を運送する「東九州デイリーフーヅ」(大分市家島)が実証の委託を受ける。

 燃料電池トラックを6月末まで日常の業務で運用し、4市町の福祉施設や量販店に食品を届ける。勾配の急な坂道や住宅地といったルートを走り、燃費や騒音などを確認。長所と短所をみて、需要の掘り起こしに生かす。

 トラックはトヨタ自動車から借りた。水素と大気中の酸素を反応させ、発生した電気を動力にする仕組み。水素は満タン10.5キロで距離約260キロを走行する。

 燃料の一部は大手ゼネコン大林組(東京都)が九重町野上で生産する地熱由来のグリーン水素を使う。充填(じゅうてん)作業は江藤産業(大分市乙津町)の水素ステーションで実施。それぞれ県内のインフラを活用する。

 11日に同市豊海の物流センターで実証を披露する式典があり、関係者約30人が出席した。

 トラックの助手席に乗り試走を体験した佐藤樹一郎知事は「走りがスムーズで、音も含めて環境に優しいと感じた。カーボンフリーの社会実現に向けて取り組みを進めたい」と話した。

 東九州デイリーフーヅの田中辰典社長(48)は「地方発の先進的なモデルを築いていければ」と語った。

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