下鶴間在住佐藤直哉さん 全国俳句大会で最高位 3万句超、2人の選者から 大和市

表彰式後に賞状を持つ佐藤さん

下鶴間在住の佐藤直哉さん(38)の俳句が3月31日、「第25回NHK全国俳句大会」(共催/NHK・NHK学園)で最高位となる大会大賞に輝いた。大会には全国から3万1475句が寄せられ、選者を務めた俳人の小川軽舟氏と神野紗希氏の2人から「題詠『平』」の特選作品にも選出された。

「太陽は平凡な星ふきのたう」

同大会では「題詠」「自由題」の各部門で審査員として10人の選者がそれぞれ一句を特選として選び、その中から大会大賞を選出した。

題詠の部門は指定された1字を使用する決まりがあり、今大会では「平」が指定された。佐藤さんは「広大な宇宙を思うと太陽も平凡な恒星のひとつ」と考え、最初の12音はすぐに思いついたという。残りの5音は複数候補があったというが、詠んだのは「ふきのとう」。その理由を「太陽の光で小さなふきのとうが命をつないでいるように感じた」と明かす。

佐藤さんは今大会で唯一、2人の選者から特選に選ばれた。特選に選んだ小川氏からは「平凡な人間でも一人ひとりがかけがえのない存在なのだという連想も働く」、神野氏から「平凡でもいい、その光が地球に届き、ふきのとうが芽吹く奇跡」と、それぞれ講評された。

大会の表彰式を終えた佐藤さんは「大賞を目標にしていたので、大変うれしい気持ち」と、笑顔で話していた。

泉の森で一句

佐藤さんは昨年の同大会でも「自由題」で特選に選ばれている。昨年からの一年間で変わったことを尋ねると「特に変わらず、無理せずマイペースに続けることを大切にしている」と話す。

俳句を考える際には散策をするのも日課だといい、「四季を感じられて俳句を詠む身としては絶好の場所」として「泉の森」を挙げた佐藤さん。「引地川の水源を擁する泉の森にちなんで…」と、取材終わりに本紙に一句寄せてくれた。

「水源は海を育てていぬふぐり」

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