シンガポール中銀、予想通り金融政策維持 インフレリスク漂う

Xinghui Kok

[シンガポール 12日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は12日、市場の予想通り金融政策を据え置いた。

MASは「シンガポールドル名目実効為替レート(SドルNEER)」として知られる為替レートベースの政策バンドの実勢上昇率(傾き)を維持すると発表した。

政策バンドの幅と中心値の水準にも変更はなかった。

声明で、現行の金融政策が引き続き適切だとし、政策バンドの現在の傾きが輸入インフレと国内のコスト上昇圧力に対する抑制効果を維持するために必要で、中期的な物価安定の確保にも十分だとした。

シンガポール貿易産業省がこの日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前年比2.7%増と、ロイターがまとめた市場予想の2.9%を下回った。

MASは今年の経済が力強く成長すると予想。インフレ率は鈍化基調を維持し、第4・四半期には一段と低下し、来年はさらに低下する見通しだとした。

貿易産業省は今年の成長率が1─3%になると見込んでいる。

コアインフレ率は1月に3.1%まで低下したが、2月には3.6%と7カ月ぶり高水準を記録した。旧正月の影響でサービス・食品価格が押し上げられた。

メイバンクのエコノミスト、チュア・ハク・ビン氏は「コアインフレ率は依然高止まりしている」と指摘。7月の次回会合で政策緩和が実施される可能性は低いとし、早くても10月になると予想した。

MASは以前4月と10月に行っていた政策発表を今年から1月、4月、7月、10月の四半期ごとに変更した。

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