マカオで今年3人目の在郷軍人病感染者確認…患者は中国本土からの留学生、潜伏期間中に広東省珠海市で活動歴

科大医院(資料)=マカオ・コタイ地区にて本紙撮影

 マカオ政府衛生局(SSM)は4月11日夜、マカオで今年(2024年)3人目となる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染者を確認したと発表。

 患者は中国本土からマカオの大学に留学中の男性(19)で、4月7日に発熱と悪寒の症状が現れたことから私立総合病院の科大醫院を受診した後、症状が好転。しかし、9日に再び発熱、頭痛、めまい、倦怠感の症状が出たことから同院を再受診し、入院する運びとなり、腹部CT検査で肝膿瘍、血液検査でクレブシエラ・ニューモニエ陽性、尿検体検査でレジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性となったことから、クレブシエラ・ニューモニエと在郷軍人病の合併感染と診断された。なお、患者は重体で、10日に中国本土の医療機関へ転院し、継続して治療を受けているとのこと。患者は潜伏期間中に広東省珠海市で活動歴があったが、同住の友人に類似の症状は出ていないという。

 SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす伝染病の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

 マカオで在郷軍人病の感染者が見つかるのは極めて稀なケースだが、今年は3月に1人、4月に2人の感染確認があった。近年では2023年が1人、2022年が1人、2021年が3人、2020年が6人、2019年が2人、2018年が5人。

© 大航海時代新聞出版社有限公司