O・J・シンプソンさん死去 殺人被害者の遺族が「大きな損失ではない」

O・J・シンプソンさん(2008年=ロイター)

米アメリカンフットボールの元スター、O・J・シンプソンさんが10日にがんのために亡くなった。76歳だった。11日に遺族がシンプソンさんのX(旧ツイッター)のアカウントで明らかにした。

シンプソンさんは1994年、元妻のニコール・ブラウンさんとその友人ロナルド・ゴールドマンさんが刺殺された事件で、逮捕され殺人罪で起訴された。〝O・J・シンプソン事件〟として世界中が注目した裁判だった。翌年、刑事裁判では無罪となった。民事裁判では殺人を認定する判決が下された。

後年には「私がやったなら」という〝告白〟本を出版。殺人を告白したわけではなく、もし自分がやるならこのような手口で殺すだろうという仮説を書いたものだった。

そのシンプソンさんが亡くなったことについて、ゴールドマンさんの父親と妹がコメントした。米紙ニューヨーク・ポストが11日、報じた。

父親フレッドさんと妹キムさんは声明を出し、「真の責任を求める願いの終わり」として悼んだが、彼の死を「大した損失ではない」と非難した。

「ロンを殺した犯人が亡くなったというニュースは複雑な感情が入り交じっており、悲しみの旅路は直線的ではないことを思い出させてくれる。30年間、私たちはロンとニコールの正義を追求してきたが、民事判決と『私がやったなら』での自白にもかかわらず、真の責任を求める望みは絶たれた」

また、フレッドさんは「世界にとって大きな損失ではない。これはロンがいなくなったことをさらに思い出させるだけのものだ」と語っている。

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