「代行、タクシーつかまらない…」でも飲酒運転ダメ! 酒席増える春、県警も警戒

夜の中心街で客を乗せるタクシー。花見や歓迎会などで酒席が増え、飲酒運転の増加が懸念されている=山形市

 山形市内などで桜が満開になり、花見や新年度の歓迎会など酒席が増える時期を迎え、懸念されるのが飲酒運転だ。本県では移動手段に車が欠かせないが、近年は新型コロナウイルス禍の影響もあり、タクシーや運転代行業者のドライバーが不足気味。時間帯によっては帰りの足に困る場合もある。「代行がつかまらない」「早く帰りたい」…。安易な動機でハンドルを握るケースが後を絶たず、県警は警戒を強めている。

 県警交通指導課によると、酒酔い・酒気帯び運転による道交法違反容疑の摘発件数は2019年が282件、コロナ禍で飲酒機会が減った20年は大幅に減少して176件、21年219件、22年154件となっている。コロナの制限が緩和された23年も減少傾向は続き、166件だった。今年も先月26日現在34件(速報値)で、前年同期比7件減のペースで推移しているが、気は抜けない。同課の担当者は「社会の目も厳しくなっているが、飲酒運転はなくならない」と話す。

 「捕まらないと思った」。飲酒運転の理由について、昨年摘発されたうち最多88件のドライバーは、こう供述した。「事故を起こさないと思った」が2番目に多く48件、「代行がつかまらなかった」が11件と続く。上山市で今年1月、飲酒運転で重傷交通事故を起こした男も調べに対し「新年会の後、運転代行がすぐに来ないから運転した」と話したという。

 コロナ禍で歓楽街などの飲食店は休業し、夜間のタクシーや運転代行の利用者も激減。各業者は営業を縮少したり、台数を減らしたりした。抱えていたドライバーも減り、コロナ禍前の水準には戻っていないのが現状だ。特に夜は「代行がすぐに来ない」「タクシーがつかまらない」といった状況に陥りやすく、「自分は大丈夫」とハンドルを握る―と県警はみている。

 週末になると、同市など県内の歓楽街では酔客がタクシーなど、帰りの交通手段を待つ姿が目立つようになってきた。飲酒運転の防止策としてハンドルキーパーを決め、運転代行やタクシーを早めに確保することなどが挙げられる。「酒を飲む際に車を運転して行かず、深酒をしないことが重要」と、県警は目を光らせるとともに、警鐘を鳴らしている。

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