中原消防署 救急隊、日中に増設 到着時間の短縮めざす 川崎市中原区

デイタイム救急隊のメンバーら

川崎市消防局は、「デイタイム救急隊」を市内で初めて中原消防署に配備し、4月1日から運用を開始した。救急需要の高い日中の時間帯に運用され、現場への到着時間を短縮することが目的。同局では今後、効果を分析しながら、運用方法について検討していく。

市内の救急出場件数は、2022年度が8万4776件、23年度が8万7592件(速報値)と2年連続で過去最多を更新。昼間の時間帯の救急件数は夜間の約1・8倍と需要が高い。救急隊の現場到着時間も、10・2分(22年度)と、川崎市が目標とする8・4分を超えており、救急出場の多い中原区では、10・42分と市の平均を上回っていることから課題となっている。

こうした状況を改善するために導入されたのが、デイタイム救急隊だ。中原消防署に配備されたデイタイム救急隊は、土日祝日を含む、午前8時30分から午後5時15分までの日中の時間帯のみ、5人の隊員で毎日運用される。同隊が増隊されたことで、同署の消防隊は4隊になった。

市民サービス向上へ

4月1日に行われた発隊式では、デイタイム救急隊担当の署員に熊谷智子署長から任命書が手渡された。熊谷署長は「いち早く現場に到着し、市民の安全に寄与してほしい。地域の期待に応えられるよう、寄り添い、迅速に駆けつけ、市民サービスの向上に寄与してほしい」と同隊の署員に激励の言葉を掛けた。

同隊の担当係長の喜熨斗(きのし)千織さんは「年々増え続ける救急件数に対して、救急車が現場にたどり着く時間を短縮し、市内の皆様に需要を還元できる隊になっていきたい」と抱負を語った。

来年度、高津署にも

市内の救急隊の数は、中原署にデイタイム救急隊を1隊増隊し31隊に。その一方で、国が示す人口数の算定基準の34隊から3隊少ないのが現状だ。市消防局では、来年度に高津署でもデイタイム救急隊の配備を予定。市消防局の担当者は「人口の増加に対応できていない。今後、デイタイム救急隊の効果や課題等を分析しながら、さまざまな角度で検討していきたい」と説明する。そのうえで「今回、1隊増えるが、救急車の数には限りがある。救急車が必要かどうか迷った際は、ネットやスマホで救急受診ガイドを参考にし、緊急を要する場合は、迷わず要請をしてほしい」と呼び掛けている。

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