「学びの多様化学校」設置へ 長崎市、不登校児童生徒受け入れ メタバース活用で支援も

 長崎市は、不登校の児童生徒を受け入れる「学びの多様化学校」の開設に向けて、本年度から本格的な検討を始める。インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用して登校できるシステムの構築も計画している。子どもたちのニーズに応じた学習機会の提供を目指す。
 学びの多様化学校は文部科学省が昨年8月、「不登校特例校」から改称した。同省が認定し、学習指導要領に縛られずに授業時間を変更するなど、児童生徒の事情に合わせた柔軟な対応ができる。同省によると、4月時点で16都道府県に公立と私立を合わせて計35校があるが、県内では設置されていない。
 市教委によると、昨年12月末時点で、不登校などの理由で児童63人、生徒186人が校内の別室で学んでいる。学びの多様化学校は、市内の不登校の子どもは中学生が多いことなどから、市立中の分教室という形で開設を目指す方針。交通面の利便性を考慮し、市中心部付近での設置を想定している。開設時期は未定。本年度は先進地の視察や有識者を招いた検討委員会開催に取り組む。
 メタバースの活用は、ひきこもりで自宅から外出できないなどの事情がある児童生徒の支援が目的。学びの多様化学校の生徒らの利用も想定している。インターネット上で授業を受けたり、児童生徒同士で交流したりできるシステムの構築準備を進めている。運用開始時期は未定。
 市は重点政策の一つ「少子化対策アクションプラン」の一環として、本年度一般会計当初予算に関連事業費約107万円を計上した。市教委は「子どもたちの選択肢を広げ、支援の手が届いていないところにも届けていきたい」としている。

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