航空部品工場を拡張 国内初の加工設備も 完全一貫生産を実現へ 三菱長崎造船所

燃焼器の製造過程で使うウオータージェット穴開け加工機=三菱重工長崎造船所

 三菱重工業長崎造船所の航空エンジン部品工場の拡張工事が完了し、オープニングセレモニーが11日、長崎市飽の浦町の現地であった。旺盛な旅客需要に応えるため建屋面積を倍増し、国内初の加工設備を導入するなど生産体制を増強。海外メーカーに委託している工程も取り込み、完全一貫生産を実現する。
 完成したのは三菱重工の子会社、三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市、牛田正紀社長)の長崎工場2期棟(5700平方メートル)。2020年に開設した1期棟(5400平方メートル)に併設した。当初約100人だった従業員数は、26年の本格稼働時に計約160人となる予定。設備も順次増強する。2期の投資額は設備を含め約100億円で、1期の約73億円を上回る。
 製造しているのは航空エンジンの“心臓部”とされる燃焼器(月産100台)とその外側のケース(同24台)。エアバス社の短・中距離旅客機A320neoに搭載するエンジン「PW1100G-JM」向けに供給している。
 燃焼器は、2期棟に量産用としては国内初となる耐熱コーティング設備を導入予定。ウオータージェット穴開け加工機を18台設置した。ケースは1期棟に続き自動加工ラインを設置し、月産50台に引き上げる。これらの工程は海外に依存してきたが、長崎工場が全工程を担うことで生産効率が向上する。牛田社長は「工期を短縮できるのが大きい。メード・イン・ジャパンで供給し、市場の期待に応えたい」と強調。地場企業との協業拡大にも期待を示した。大石賢吾知事や鈴木史朗市長らとテープカットして完成を祝った。

テープカットがあった長崎工場2期棟

 成長著しい旅客機市場において、三菱重工航空エンジンは米ゼネラル・エレクトリックと争う世界第2位の燃焼器メーカー。シェアは大型機(300~400席)の約半分、小型機(100~200席)の約4分の1を占める。22年度売上高は前年度比25%増の1265億円、今後も年率20%で拡大すると予想。中でも小型機のベストセラー、A320neoは今後5千機を超える需要が見込まれている。

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